8日(2020年3月)、名古屋ウィメンズマラソンで、一山麻緒(22)が17年ぶりに国内最高記録を更新して、女子マラソン最後の東京五輪切符を手にした。2016年に高校を卒業して、実業団の名門ワコールに入社。福士加代子らを育てた永山忠幸監督の"鬼メニュー"でその才能を開花させた。
マラソンデビューは2019年3月の東京マラソン。日本人トップの7位となった。9月のMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)では6位に終わった。残る1枠をかけて、2020年1月の大阪国際女子マラソンで松田瑞生が2時間21分47秒を記録。残りの1枠を獲得するためには、この好記録を超えなくてはならなかった。
「カッコいいと言ってもらえる走りをしたい」
一山は志願して標高1600メートルの米ニューメキシコ州アルバカーキで、後半のスピードアップができる体を腹筋強化などの鬼メニューで培った。その成果通り、8日は29キロ地点で永山監督の「行けるなら行っていいぞ」の掛け声に応じ、30キロ地点の少し前からラストスパート。最後はぶっちぎりで優勝し、五輪切符を射止めた。元女子マラソン五輪代表の千葉真子さんは「太ももの筋肉がはっきりするぐらいついて、スピードアップできる体になった」と証言した。
司会の小倉智昭は「古い話ですが、昔バンコクアジア大会で高橋尚子さんが勝ったときに匹敵するくらい強いと思った。あのコンディションでこのタイムは期待できる」と喜ぶ。
名古屋から中継で一山選手が生出演し、「監督が行けたら行けと言ったのは聞こえました。29キロから30キロの給水を一番先にとるつもりで走りました。ドームが見えた時、優勝を確信しました」と話した。
ゴール後のインタビューで「五輪ではカッコいい走りをしたい」と言っていたことを問われると、一山選手は「カッコいいと言ってもらえる走りをしたい。記録は、大阪で松田さんがあのタイムで走っていなければ出せなかった」と答えると、小倉が「脚がきれいですね。エチオピアの選手みたいな脚をしている」と誉める。すると一山は笑いながら「脚はきれいと言われます。ゴールした後、お尻とハムストリングスが筋肉痛になっていたので、自分でもちゃんと走れていたと思います」と話した。