倒産の危機に瀕していた長野県松本市の老舗総合病院を、地域救急医療の「優良病院」に甦(よみが)えらせた実話をもとに、病院長と事務長らの病院再生への奮闘を描いた異色ドラマの最終回だ。
有原総合病院では病院長・有原修平(小泉孝太郎)の発案で、急性期の患者を受け入れて治療する救命救急センターに加え、回復した患者の日常生活復帰のためのリハビリを行う退院支援病棟を建設する計画を進めている。関門は莫大な資金の調達と、新たな救命救急センターとして県の認定を得られるかどうかだ。
病院の乗っ取りを目論む医療法人が裏で糸を引いているのは明らかだ
有原たちの計画に賛同した信甲斐銀行副頭取・米田正光(中村雅俊)が融資に反対する取締役会を説得し、追加融資を受けられることが決まり、資金問題は解決した。しかし、これまで認定に前向きな姿勢を見せていた県庁厚生部医療企画課の課長補佐・細谷祐一が態度を一変させ、認定を渋るようになった。
そんな折、米田が急性大動脈解離で倒れ、帰らぬ人となる。だが、有原には悲しみに暮れる暇はなかった。融資担当の常務取締役・桐山耕三(木村靖司)がすぐさま有原総合病院への追加融資の打ち切りを決め、大学病院は派遣している医師を引き上げると通告してきたのだ。有原総合病院の乗っ取りを目論む医療法人隆泉会グループ理事長・田所伊久磨(池田成志)が裏で糸を引いているのは明らかだ。
その田所が有原に直接面会し、自信たっぷりに「悪い話ではないと思いますよ」と買収を持ちかけてきた。絶体絶命の窮地に立たされた有原は、病院の主だったスタッフに対して「この申し出を検討していきましょう」と提案する。だが、田所の買収を受け入れれば、有原が進めている病院改革が潰されるのは火を見るより明らかだ。
こうしてついに、有原総合病院の存続と地域救急医療の確立をかけたドクター有原の最後の闘いの幕が切って落とされる。(よる10時放送)
寒山