今SNS上で「#感染隠し」というキーワードが急上昇している。会社などで感染が疑われる人が出た時、業務への影響や風評被害を気にして検査を受けさせなかったり、口止めしたりする行為が急増しているというのだ。
「#感染隠しのためかんこう令が敷かれています」というツイートをした都内のIT関連会社で働く30代の女性会社員を取材した。女性は2月27日(2020年)、会社が入るビルのエレベーターホールに「来館者がコロナウイルスに感染していたことが分かった」と記された張り紙を発見し不安に思っていた。
「体調不良の課長を応接室に1日中隔離した」
ところが、女性の上司は社員たちを前に驚くべき発言をした。ビルで感染者が出たことを誰にも言わないよう口止めをしたのだ。「出勤を控えるようにという指示が出るかと思っていたのに、顧客に説明する手間があるし業務にも影響が出るので、家族にも口外しないようにと言われた。完全に感染隠しだと思った」と女性は話す。また、業務については通常通りという指示が出たと言い、「正直私たちのことを何も考えていない」と不安そうだ。
ほかにもツイッター上には「感染者隠しに勤しんでいる夫の会社。症状が出ても会社の許可なしに検査を受けるなと通達」「課長が体調不良なのに出勤していて、応接室に1日中隔離されているとか都合の悪いことはすぐ隠したがる」などという感染隠しに関する投稿が飛び交っている。
倒産を恐れる中小企業ほど「感染隠し」が多い
従業員などの感染を隠すと、会社は安全配慮義務違反に問われ、損害賠償請求の対象になる可能性もある。隠すのは悪いことだが、中小企業の場合、正直に公表することもリスクが高い。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「中小零細企業の場合にはほとんど自転車操業でやっている場合が多いので倒産してしまうところも結構ある。本当にいけないことですが、隠さざるを得ないところもあるのだと思う」と話している。
実際、感染を公表した飲食チェーン店の70代経営者は、3日間の休業期間を経て店を再開したが、今も客は普段の半分以下だ。
キャスターの立川志らく「もし私がコロナウイルスにかかったら、当然自宅待機になって、この番組のスタッフも出演者も濃厚接触者なので仕事ができなくなる。果たして私は言えるかな?」
鴻上尚史(演出家)「言うしかないでしょうね。隠し切れるものじゃないし。検査受けないで隠した場合、最終的に混乱はでかくなる」