きのう25日(2020年2月)に、政府は新型コロナウイルス感染対策の基本方針を発表した。発熱など風邪症状がある人には休暇取得や外出自粛を求め、テレワークや時差出勤の推進を呼びかけるというものだ。また、症状が軽度ならば自宅療養とし、重症者を優先的に受け入れる医療機関を整備するという。
この基本方針について、専門家は「だれでも受けられる検査体制が必要」(山本佳奈医師)、「すでに感染は拡大しています。発表時期が遅すぎた」(後藤礼司医師)など厳しい。感染制御学が専門の東邦大学の小林寅喆教授は「表現があいまい。明確な基準を示すべきです。学校の臨時休校についても、自治体任せです」と、具体性に欠けることを指摘する。
「陰性でも陽性でも治療薬ないから同じ」と突き放し
安倍内閣は「先手、先手でやります」と言いながら、検査体制はまったく対応できていない。関東在住の女性Aさん(30)の夫(38)はタクシー運転手で、10日前に発熱し、ずっとぐったりしているので相談センターに連絡したが、検査を受けることはできなかった。「(タクシーに)乗せた客が、中国の武漢か湖北省の人と証明できなければ検査はできません」と断られたという。再三頼んだが、「今、息できてますよね?」と言われてしまったという。
夫はその後、3つの病院を受診。医師が「肺炎症状はなくても新型コロナに感染している可能性がある」として再びセンターに検査依頼をしたが、回答は「ノー」だった。肺炎症状が出ないと検査は受けられないという。「重篤化してから検査をしても手遅れだと思う」とAさんは訴える。
小林教授は「武漢関係とか、熱は何度以上とか、濃厚接触があるとか、いろいろな縛りがあるので、こういう振り分けをせざるを得ないのです。検査体制が十分に整っていないという問題もあります。仮に陽性が出ても、治療薬がまだないので、重症になるまでは様子を見るしかないということだと思います」と、政府の対策遅れを一生懸命弁護していた。重症化しても仕方がないということだろうか。