クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に災害派遣医療チーム(DMAT)の一員として18日(2020年2月)に入った感染症専門医の岩田健太郎・神戸大学教授が、船内の感染症対策は「悲惨な状態」「ぐちゃぐちゃ」と告発する動画をユーチューブにアップした。
岩田教授は「心の底から恐怖を感じた。感染してもしようがないんじゃないかと本気で思った」という。最も問題にしたのは、危険なゾーンと安全なゾーンが区分けされていなかったこと。「きちっと分けて初めて安全が守れるのに、船内はぐちゃぐちゃで、マスクや手袋の対策にもばらつきがあった」と、防護服姿の衛生員のそばにマスクだけの自衛隊員がいる写真も公開した。
岩田教授はエボラ出血熱対策でアフリカに支援派遣されたこともあるが、船内は「シエラレオネの方がよっぽどマシだった」「専門家が常駐しておらず、非常識なことを平気でやっている」と指摘した。
現場を指揮する厚生労働省スタッフのトップに改善を提言しても、「聞き入れてもらえず。ものすごく嫌な顔をされて、聞く耳を持っていない」という。そして突然、電話で「岩田に対してすごくむかついた人がいる。誰とはいわないが、だからお前は出ていくしかない」と言われ、船から退去させられたそうだ。
対応遅れを棚に上げて厚労省「適切にやっている」
船内に入った別の医師も、「船内は出入口が一つしかなく、支援者と陽性の人が同じ動線に立ってしまう。そこがズサンとの指摘は正しい。(岩田氏は)つまみ出されたことに怒ったのだろうが、彼の意見をくみ取っていれば、こんな動きは出なかったろう」と話す。
この件はきのう19日(2020年2月)の国会でも取り上げられたが、政府はゾーンの分離はできており、専門家は常駐しているとして「適切」を強調した。
下川美奈(日本テレビ社会部解説委員)「政府の(自分が)すべてが正しいといった発表の仕方は考えたほうがいいですよね」
司会の加藤浩次「岩田教授の指摘が曲解されると問題があるな。乗客が下船した後、一から検証するのが順当と思いますね」
動画は現在、なぜか削除され、岩田教授は「これ以上つづける理由はない」とツイートしている。ただ、海外のメディアでは、日本の対応のまずさや責任を問う報道が急増している。