トランプ大統領が2月4日(2020年)に行った一般教書演説は、聞くに堪えない自己礼賛のオンパレードだった。はしゃぐ共和党議員に対して、いまだに候補者さえ決まらない民主党は沈黙したまま。だが、トランプの演説が終わった後、彼の後にいた民主党のペロシ下院議長は、立ち上がると顔色一つ変えず演説草稿を破り捨てて席を離れた。何と見事なトランプへの嫌悪感の表し方だろう。ぜひ、彼女に大統領選に出馬してほしいものだ。
週刊文春のトップは、少し前に報じた和泉洋人首相補佐官〈66〉と大坪寛子厚生労働省大臣官房審議官(52)の「不倫疑惑」の続報である。週刊文春という週刊誌の真骨頂は、一度食らいついたら、相手が「まいった」というまで追及を続ける執念深さである。これからはスッポンの文春、「ポン春」とでも呼びたくなる。
前回は、京都大のiPS細胞研究所の山中伸弥所長を2人で訪ねた後、貴船などで仲良く手をつないでデートしている様子を写真に収めた。その出張費が公費で賄われていたと追及したが、菅官房長官は会見で「そのようなことはない」といって片付けてしまった。
ならば「これはどうだ」と持ち出してきたのが、18年9月16日から18日にかけて和泉がインドへ出張した際の疑惑である。これに大坪を同行させ、しかも和泉は行く前に、ホテルの大坪の部屋を、自分の部屋と自由に行き来できるコネクティングルームにしてくれと、現地の大使館に頼んでいたというのである。大使館には外務省から、「和泉補佐官には健康上の不安があるため、主治医である大坪と一晩じゅう同室にする必要がある」と伝達していたのだ。
首相でもないのに、主治医を同行させるなど言語道断だし、大坪は「主治医」などではない。週刊文春が過去4年間の大坪の海外出張記録を見ると、18年に4回あるが、そのいずれにも和泉が同行していたのである。この2人は、自分たちが公務員だということを自覚していないのだ。
これが事実なら、芸能人の不倫スキャンダルとは別次元の話である。2人とも逃げ隠れしていないで、説明の会見を開くべきだ。菅も、2人の首を切るだけで済ますのではなく、あんたが責任をもって国民の前で謝罪させるべきである。
IR汚職も河井案里も菅原一秀も幕引き!?法定無視して次期検事総長に飼い犬検事長はめ込む安倍官邸
不肖の子どもが次々に出て来るのも、親が好き勝手なことをやり放題だからである。憲法さえ蔑ろにするのだから、法律なんて守らなくていいと、この男、安倍首相は考えているのだろう。1月31日(2020年)、政府は2月7日に63歳の定年を迎える黒川弘務東京高検検事長を、7月7日まで勤務延長とする閣議決定を行ったのである。
検察庁法では、トップの検事総長の定年を65歳、ナンバー2の東京高検検事長以下の定年を63歳とはっきり定めている。検察庁というのは、政官界の不正にメスを入れるために、首脳人事は政治介入を許さない「聖域」とされてきた。それを無視して政府は人事権を行使したのである。こんなことが許されていいはずがない。権力側の暴挙である。
その裏には、黒川が安倍や菅官房長官に尻尾を振る便利な存在だったことがある。これまでも、小渕優子が経済産業大臣のときの不透明な政治資金処理事件、甘利明経済産業相の口利き疑惑などが不起訴になったのは、黒川が動いたからだといわれてきた。悪法といって間違いない「共謀罪」を成立させるときも、黒川の「調整力」が欠かせないとして、ゴリ押しして黒川を事務次官に昇格させたといわれている。
そして今回、IR汚職で現職議員が逮捕され、このままいけば、さらに上の大物議員にも検察の手が伸び、カジノ構想自体が崩壊しかねない重大な局面で、法を無視して黒川の定年を延長させ、検事総長にしようというのである。
この人事が発表されると、新聞はIR汚職は秋元司逮捕で終わりと報じた。河井案里議員の政治資金規正法違反も、菅原一秀議員の公選法違反も、うやむやにされるという見方が圧倒的だ。こんなことで、この国が「法治国家」だといえるのか。
週刊文春で検察関係者が黒川の意外な趣味について、「皮肉なことに黒川氏の犬の散歩以外の趣味は麻雀とカジノ。休日にはマカオや韓国にカジノに出掛けることもある」と話している。
かつて、検事総長確実といわれていた則定衛東京高検検事長が、噂の真相で女性スキャンダルを暴かれ、消えていった。週刊誌よ、黒川東京高検検事長のスキャンダルを追え! こんな理不尽な人事がまかり通ることを許してはならない。