中国・武漢市を中心に広がる新型肺炎の死者は2月3日(2020年)の段階でSARSを上回る360人。フィリピンでも1人が死亡と、中国国外でも死者が出た。
イギリスの研究チームは今後の感染者数を最大35万人と予想。また、香港大学ではピーク時の4月には武漢で1日に最大15万人が感染するという恐るべき予測を出した。このほか、中国では武漢の南の湖南省でH5N1型鳥インフルエンザも発生し、4500羽の鶏が死ぬなど混乱が続いている。
ウイルスが不活発になる夏まで持ちこたえられるか
日本国内の感染者は2月1日時点で20人。武漢の人と接触のない千葉県在住の20代女性バスガイドの感染も確認されるなど、すでに3次感染が起きていると考えられている。
武漢からのチャーター機帰国者については、全員を検査したところ565人中1.4%にあたる8人が感染していた。このうち5人は無症状感染だった。感染が判明したうち1人は、上気道粘液を調べた最初の検査で陰性と判定されたが、発症後に下気道の再検査を行い、陽性となった。
今後の対策だが、白鴎大学の岡田晴恵教授によると、患者の糞便や嘔吐物にも注意が必要だという。症状が治まった後もウイルスは1ヶ月間排出されるため、トイレの換気を良くし、流す時には蓋をする、トイレ掃除で消毒を行う、可能であれば感染者とトイレや風呂を別にするといったことが有効だ。
治療薬の開発も進められている。タイ保健省はインフルエンザ治療薬と抗エイズウイルスの投与で症状が急速に改善したという報告を出している。岡田教授は「コロナウイルスは低温・乾燥で活発化するので、夏場は感染が収まることが多い。夏が来るまで感染が広がらないよう持ちこたえたい」と話す。
水際作戦や情報公開で日本の甘さが露呈
水際対策では日米の温度差がクッキリ。アメリカでは公衆衛生非常事態宣言を出し、過去14日間に中国を訪問した外国人の入国を拒否するなど厳しい対応を行なっている。日本では湖北省発行のパスポート所持者などの入国拒否などにとどまっている。感染者立ち寄り先などの情報公開も、基準がないため自治体ごとに対応がバラバラ。検査体制も十分とはいえず、グアム旅行で中国人観光客と親しくなった神奈川県在住の40代男性は帰国後高熱が出たが、保健所に相談しても検査をしてもらえなかったという。
山口真由(ニューヨーク州弁護士、元財務官僚)「日本の水際体制が露呈した。鳥インフルエンザが来た時、この対応で大丈夫なのか」
玉川徹(テレビ朝日解説委員)「国が定期的に情報を公表しないとダメだ。アメリカの対応はやりすぎではなく理想。常に先手を打つことが必要」
岡田晴恵教授「初動段階では、感染者が接触した人を見つけるための情報が必要だが、後になっての公表は意味がない。米国の対応はすさまじいが、今は入国者を止める、止めないではなく、国内の医療をどうするかが問題。新型肺炎の院内感染が起きると、他の病気に対応できなくなる」
文・みっちゃん