地中も燃えてるオーストラリア森林火災!コアラは棲みかの木は焼失し、地上に下りると大やけど

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   オーストラリアの森林火災は、消火と動物保護の戦いが続いている。木々を燃やした火が消えても、地中でくすぶる熱が200度を超す危険状態だ。南部のカンガルー島は去年12月(2019年)の出火から島の半分近くが焼失した。コアラやワラビーなど野生動物の宝庫で、「柵のない動物園」ともいわれた国立公園も全焼してしまった。

   この島でいま70人の消防隊員たちが地面の温度を測って回っている。熱い地点を10センチほど掘ると、高熱の地層にぶちあたって、「うわあ、211度、212度もあるぞ」と、驚きの声が飛ぶ。「植物の根やシロアリの巣が熱せられ、地中でも火災が起きている」という。くまなく調べて、このホットスポットを消火し切らなければならない。

   動物救護チームが保護したコアラは、4本の足にやけどをおって動けず、水たまりの水を吸っていた。「普段過ごす木が燃えてしまい、熱い地面を歩いたことでやけどしたのだろう」と獣医師は説明した。このコアラは血液検査の結果、腎不全で回復が望めず、安楽死させた。

野生動物の犠牲10億匹以上!「柵のない動物園」国立公園も全焼

   シドニー大学のデイル・ドメニー・ハウズ教授は「地面にある枯れ葉や枝が火災の燃料となって、火を強くします。その火が地中の木の根にも拡大し、木炭のように高温を維持するのです」と解説する。

   カンガルー島は今が夏で、気温が40度近くに達する日もある。「ホットスポットが点在し、風が吹けばあっという間に燃え広がる」と消防隊員は警戒を緩められない。

   NHKの小宮理沙シドニー支局長は「カンガルー島の国立公園は、見渡す限り灰で、煙の臭いも残っています。地中の火種はひと目では分からず、取り除くにも数カ月かかります」と報告した。

   森林火災の犠牲となった野生動物は10億匹以上といわれる。シドニー大学のマシュー・クラウサー教授は「州によっては絶滅し、再繁殖が難しい所もある」と危機感を強めている。

   カンガルー島で動物を研究する北海道大学の早川卓志助教は、「コアラやフクロモモンガといった樹上の動物は、木が燃えたため住みかや食べ物がなく、地上の動物であるウォンバットやフクロネズミは地表が熱に覆われると動けません」「(保護で)過剰に慣れさせてはいけないが、返すべき森の再生が追いつかない」という。

インド洋で「ダイポールモード現象」海水温の西高東低で高温と乾燥

   去年、オーストラリアの平均降水量は平年を40%下回り、平均気温は観測史上最高だった。ドメニー・ハウズ教授は「地球温暖化による気候変動が、乾燥や高温、強風、落雷をもたらし、森林火災の可能性を高めている」と指摘する。

   インド洋の海水温が7月から12月にかけて西高東低の状態になった。「ダイポールモード現象」とよばれ、オーストラリアは高温と乾燥に襲われる。海洋研究開発機構の土井威志さんは、「去年はこれが観測史上最大級で、異例の長期間にわたった」という。

   東京大先端技術研究センターの中村尚教授は、「40年か50年前なら、ダイポールモード現象が過去最大級のとまではいかなかったでしょう。地球温暖化の影響です」

NHKクローズアップ現代+(2020年1月30日放送「"地中が燃える"豪森林火災の脅威~異常気象のリスク~」)

文   あっちゃん
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