「絶飯(ぜつめし)」とは「絶滅してしまいそうな絶品飯」のこと。くたびれたサラリーマンが、週末、そんな「絶メシ」を求めて小さな旅をするドラマだ。主人公の須田民生を演じるているのは、映画「カメラを止めるな!」の監督役で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞するなど、一躍時の人となった濱津隆之である。吉本新喜劇の座長・小藪千豊と区別がつかないような容姿で、冴えない中年サラリーマンにぴったり。リアルなドキュメンタリーにも見える。
彼の小さな旅にはいくつかのルールがある。出かけるのは金曜の帰宅後から土曜の夕方まで。というのも、彼の妻と娘はアイドルに夢中で、週末はライブ遠征に行っており、その間のプチ冒険なのだ。「誰も誘わない、誰も巻き込まない、予算はお小遣いの範囲内で」というルールもある。
富士吉田で常連にすすめられた「肉うどん」・・・これが、なんとまあ
第1話「たかちゃんうどん」の舞台は山梨県富士吉田市で、スマホで調べたうどん店に向かうが、着いてみると、小汚いプレハブ小屋があるのみ。入口には奇妙なオバさんが座っている。ためらいつつも入店すると、常連さんが2人いるだけである。常連さんに、「ここは肉うどん一択」と勧められ、一口食ベたところ、これが・・・。
「たかちゃんうどん」の店主役は安藤玉恵、先代役は平田敦子で、店主らを俳優が演じるのは、「孤独のグルメ」と同じスタイルである。ドラマの終わりに、撮影中のショットがうつされるが、本物の店主と女優さんの雰囲気がどこか似ていて、配役のこだわりを感じる。
初回が「肉うどん」というのも庶民的でいい。「孤独のグルメ」の井之頭五郎はなんだかんだいって、飯代には糸目をつけないところがある。なんたって「グルメ」だから。このドラマは昼飯に3000円も4000円も出せないよと、五郎を羨ましく思っていた多くのサラリーマンたちの強い味方になりそうだ。
民生が旅先で出会うベテラン車中泊マスターの鏑木勉を、山本耕史が演じるのも楽しみ。週末、車の中で自由気ままに過ごす車中泊、いいかもしれない。冬の飯ドラマはこれで決まりだ。(金曜深夜0時52分~)