28日(2020年1月)に国内で初の二次感染が確認され、新型ウイルス肺炎のさらなる感染拡大が不安視されている。香港大が試算した感染のピークは4月から5月だが、ピーク時には武漢では感染者が1日に5万人増え、武漢と人の行き来が多い重慶市では1日に15万人増えると見られている。
さらに武漢からは封鎖の前に500万人が脱出していたという報道もあり、すでに中国だけの問題ではなくなっている可能性もある。
感染拡大の対策として、WHO(世界保健機関)西太平洋地域の元事務局長・尾身茂さんは「ピークの山を小さくするのが重要。とにかく感染者の早期発見と隔離措置です。さらに感染者に接触した人のフォローが大事になります」と話しているが、今回の新型肺炎の場合はそう簡単にはいかない。
国立感染症研究所ウイルス部の元研究員で白鴎大学教授の岡田晴恵さんによると、「軽症の人が多いので早期発見は難しく、そのため隔離も不十分になります。接触した人のフォローもバックグラウンドが広いので、実務的には難しいです」と言う。潜伏期間中にも他人に感染する特性のため、感染者が広がるスピードも速い。
日本が第二の感染拡大エリアになる心配
岡田教授「あと10日もすれば、潜伏期間が切れる人が出てくるので、感染者が出てくることは想定内です。1番怖いのは、人から人の二次感染、三次感染と伝播していくこと。感染者の数や地域によって振れてはきますが、(日本でも)中国のような流行が起きる可能性は否定できません」
衛生学・ウイルス論に精通する医学博士の中原英臣さんは「これ以上増えるか、ここで止められるか、今が分岐点です」と言う。
マレーシアは中国人の入国禁止の措置をとったが、日本では難しい。訪日観光客を増やす方針の日本では、2019年1月に中国人観光客のビザ手続きが簡素化されているのだ。
浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「中国人の人たちへの差別や偏見を助長しない形で、感染症対策として、一時的に入国を止めていくしかないでしょう。日本はかなりインバウンド経済に依存していますから、日本経済への影響は大きいですが、感染者が広がることで経済活動をストップせざるを得なくなるかも知れませんから」
岡田教授「心配なのは、2、3週間先になって中国だけでは収まらなくなること。それこそ、日本人がほかの国から入国を拒否される事態になるかもしれません」