「感染規模はSARSの10倍!」武漢だけで最大35万人が感染する新型肺炎が健康な大人こそ危ない理由は

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   中国の新型肺炎の患者数は28日(2020年1月)午前の段階で4225人、死者は106人に達した。また米英の研究チームは、2月4日までに武漢で最大35万人が感染すると予測した。

   香港理工大が発表したデータでは、新型肺炎が一人の感染者から平均何人にうつるかを示す数値は、推定3.3人~5.5人。季節性のインフルエンザはだいたい2人だという。また、感染者の年齢の幅も広がっている。いずれも軽症だが、湖北省に行ったことがある生後9か月の乳児、2歳と、9歳の女児にも感染が確認されたのだ。

白血球が体の組織を攻撃してしまう

   この新型肺炎で怖いのが、持病も合併症もない若い人にも死亡事例が出ている点だ。36歳男性が、突然の心停止と血圧低下で死亡した。元WHO(世界保健機関)西太平洋地域事務局長の尾身茂さんは、「当初はSARSに比べて病原性は低いと考えられていました。しかしこの事例から、感染性はもとより、病原性も高くなっていることが疑われます」と話す。

   また、この男性の死因として「サイトカインストーム」の可能性が指摘されている。サイトカインストームとは、ウイルスを退治する免疫が通常より強く働きすぎて、自分の血管や肺の組織、心臓の筋肉などを攻撃してしまう状態を指す。大人の方が重症化し、最悪の場合は死に至る。

   旅行医学が専門の久住英二医師がこう説明する。

   「ウイルスや病原体が体に入ってきた時には、白血球が攻撃しますが、『攻撃を始めるよ』とのろしを上げるのがサイトカインというたんぱく質です。しかし、その攻撃が自分の体に向かってしまい、必要以上に傷つけてしまうことがあるのです。例えば、はしかは子どもの時より、大人になってかかると重症化します。これは大人の方が免疫の働きが強く出るからです」、

   久住医師は新型肺炎によるサイトカインストームの危険性について、「今後増える可能性がある。健康な人も重症化するので、しっかりと予防することが大事です」と話す。

文   ピノコ| 似顔絵 池田マコト
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