長崎県諫早市にある私立創成館高校は約15年前まで不良高校で廃校寸前だったが、今は定員倍率4倍の超人気校になっている。今春のセンバツ高校野球大会(甲子園)にも出場が決定したほか、体操部、女子バレー部などが全国レベルの実績を残す。
かつては年間の生徒指導数が300件を超え、恐喝、窃盗や暴力などの問題が多発し、進学率も約4割しかなかったが、現在は7割になった。学校のトイレにも校内暴力の爪痕も残る高校を再生したのは、教育経験のない奥田修史校長(48)の熱血指導だった。
年間の事件数が300件、恐喝、窃盗、暴力沙汰
荒れていた当時、中学生だった同校の教諭は「創成館高校は当時、偏差値が低く定員割れする不人気校で、名前を書けば受かるから、受験生は名前を書く練習をしていた」と話す。
創成館高校の教員陣には毎朝の日課がある。校長が定めた「教員の心得10か条」を全員で唱和する。内容は「情熱をもって生徒たちと接する」ということに尽きる。全員で唱和してモチベーションを高め、教室に向かっているのだ。
奥田校長は2003年、当時の校長だった父が他界し、教育経験がないままに校長に就任。最初に行った改革は、教員の意識改革だった。生徒を見下したり、生徒を置き去りにしたりして授業を続ける教員を退職させた。2つ目は「本気じゃんけん」。
毎週月曜日の朝礼時に、周りの誰かを捕まえて本気のじゃんけん1回勝負を行う。壇上から校長が「準備はいいかー!」と叫ぶと、本気じゃんけんの始まりだ。勝った生徒は本気で喜び、負けた生徒は本気で悔しがるのがルール。「憂鬱な月曜日に気分が上がっていい」と生徒にも好評だ。