昨日26日(2020年1月)午後10時半の段階で感染者2025人、死者56人に達した中国武漢で猛威をふるう新型コロナウイルスによる肺炎では、対応にあたっていた62歳の医師も亡くなった。
現地では病院の廊下に長い列ができ、診察までに10時間以上。病院関係者は防護服を着ているが、「患者を全員帰らせろ。家に帰って春節を迎えたい」と悲鳴をあげる医師もでている。10日間でベッド数1000床の病院を建設しようと重機がフル稼働、軍のチームなど中国全土から医療関係者が武漢に集まっている。
訪日中国人はマスクを爆買い、1人で2000枚も
武漢は人口1100万人の中国有数の工業都市だが、1月23日から封鎖され、出ることができなくなっている。仕事で武漢を訪れている本田惣一郎さん(26)によると、ホテル周辺の店はほとんど閉店していて、開いている店もわずかに残っている食料品は価格が10倍。食事はホテルが出してくれるが、ホテル出入りの際は体温が測定される。
安倍晋三首相はチャーター機などあらゆる手段を使って希望者全員を帰国させると表明。アメリカもチャーター機を運航する計画だ。
一方、来日中の中国人観光客は「昨日2000枚買った」という人など、日本でマスクを爆買い。中国ではマスクが売り切れ状態で、子供用のマスクはそもそも売っていないからだ。
日本国内では4例の感染が確認されているが、いずれも中国籍で、武漢在住または滞在歴がある。中国では今日27日から海外への団体旅行の中止を決めたが、感染の広がりを受け、フィリピンでは中国人旅行客500人の送還や、中国国内でホテルの宿泊拒否といったトラブルも起きている。
厚生労働省によると、新型コロナウイルスの潜伏期間は最長14日だが、潜伏期間中も感染が起き、1人の人が2~3人に感染させる可能性が指摘されている。
感染症学が専門の岡田晴恵白鴎大学教授によると、感染力はインフルエンザより少し弱い程度。飛沫感染がメインだが、手から鼻、口といった感染ルートも十分注意する必要があるという。
インフルエンザの予防法とまったく同じ
致死率は3%ほどと予想されている。インフルエンザの0.1%に比べると高いが、SARSの10%、MERSの30%より低い。
「SARSは潜伏期間中の感染はなかった。潜伏期間中に感染するのは衝撃的。封じ込めの対策ができない。死者は中高年で高血圧や糖尿病など持病を持っていた人が多く、致死率はそれほど高くないが、逆に軽症の人が感染を拡大させる心配がある。無症状の人がうつすとなったら手の打ちようがない」(岡田晴恵教授)
橋本五郎(読売新聞特別編集委員)「素人目ではこんな数じゃないだろうと思う。中国政府の初期対応が悪かったのでは」
石川和男(政策アナリスト)「リスク管理はいろんなレベルがあるが、あの中国がここまでやっている。(中国からの入国者には)極端な対応を取った方がいい」
岡田晴恵教授「今の日本ではインフルエンザの被害が大きい。(手洗いなど)予防は同じなので、インフルのことも思い出してもらいたい。中国から帰国して病気になった人は勝手に医者に行くのではなく、まず保健所に電話し、体制の整った病院に行ってほしい」