24日(2020年1月)から始まる中国の春節休暇。延べ30億人が大移動する。旅行先の人気ナンバー1は日本だが、人気スポットランキングに異変が起きている。2019年下半期で初ランクインしたスポットをみると、日本人が一瞬「なぜ?」と思うものも多い。
まず、初ランクインで7位になったのは大阪のモノづくりの街「堺」。2019年7月に世界遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群」や、千利休の故郷の「茶の湯」体験が人気だ。関西国際空港から近いこともいいらしい。「今ここで気球を飛ばして古墳を見せようという話があるので、インスタ映えを狙ってもっと人気になるでしょう」と航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さんは話す。
最近のキーワードは「SNS映え」×「人が少ない」
鳥海さんによると、最近のキーワードは「SNS映え」×「人が少ない」。京都府北部、日本海の宮津湾にある「天橋立」は、京都駅から電車で3時間だが、初ランクインで5位に。その周辺のどかな漁師町「伊根の舟屋」(26位)や京都随一の滝「金引きの滝」(28位)も初ランクイン。「中国人も混雑にはうんざりしている。日本の地方はお客を呼びたいので、需要と供給が一致しています」と鳥海さん。
そう言われると、大阪のベッドタウン「箕面」(19位)がランクインしたのも納得だ。「日本の滝100選」に選ばれた箕面大滝と、その周りにある「森林浴の森100選」に選ばれたのが勝因だ。人が少なくSNS映えするため、結婚式の写真を撮る旅行者も多く訪れるという。
愛知県の中部国際空港セントレアから入り、石川県の小松空港に抜ける「昇龍道」と言われるコースも人気が出ている。「名古屋城」、滝が3つある「付知峡」、アニメ映画『君の名は。』の聖地巡礼で「飛騨高山」、「黒部ダム」、「和倉温泉」をめぐる。
日本だけの体験で「カプセルホテル」「のり弁」が人気
また、価格の安さと独特の形状で人気なのが「カプセルホテル」。「日本だけの体験がしたいと、あえてカプセルホテルに泊まる人も多い。新しいところも多く、清潔感もあるので、女性旅行者も宿泊しやすい」と鳥海さん。2年前に開業した日暮里の「ホテルオウル東京」では1泊最安1600円という価格と成田からのアクセスの良さで利用者の7割がアジアからの観光客という。
「日本でしかできない体験」と言えば、アニメや映画で人気に火が付いたのが「のり弁」だ。コンビニでも大人気という。また、整形手術の失敗が年間4万件という中国では、日本への整形手術ツアーも人気だそうだ。鳥海さんは「日本人が観光客向きだと思わないものがビジネスチャンスになっています」と話す。
青木理(ジャーナリスト)「有名なB級グルメの店に行ったら、でっかく『本店では中国食材は一切使っていません』と書いてあったが、それを見て中国の人はどう思うか。経済的戦略も必要だが、ホスピタリティーも必要なのでは」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「中国の富裕層は中国食材を食べないという話も聞くから、『よっしゃ、そのために日本に来たんだ!』となるかもしれませんよ」