「3日間は水が出ません」という和歌山市の断水予告がけさ(2020年1月20日)、一転中止された。対象地域の3万5000世帯、8万人の住人は断水に備えて大わらわだったが、「市の対応が後手後手だ」と呆れかえっている。
断水は約60年前に埋めた水道管の幹線から水漏れし、破裂の恐れがあるという判断だった。1月19日夜10時からという水道管取りかえ工事の予定発表そのものが16日と、実施3日前。急きょ水を買い求める市民でスーパーのペットボトルは品切れ、銭湯や美容院は急きょ休業、個人宅では浴槽などに水をためる騒ぎが広がった。
全国の老朽化した水道管、換えるのに130年
きょう20日零時過ぎに、市はホームページを「漏水は枝管からでした。想定より出水量が少なかった。断水せずに作業します」と更新、5時に「工事完了」と断水を行わずにすんだことを発表するあわただしさだった。和歌山市の担当者は「何回も確認したため、後手に回った」という。
水環境の専門家、吉村和就さんは「(水道管が埋設された)国道は国土交通省建設事務所が責任を持つので、市は勝手に工事できない。場所の特定も、掘らないとわからない状況」と解説する。
全国で40年以上前に敷設され耐用年数を超した水道管は14・8%、地球2周半分もある。現在、取りかえ工事が完了しているのはその0・8%で、このペースだと全部終わるまでに130年かかる。吉村さんは「和歌山の事態は氷山の一角で、どこで起きても不思議はない」と指摘する。
山田秀雄(弁護士)「私たちには水は大丈夫との信仰があるが、今から考えないといけない」
司会の小倉智昭「ライフラインのトンネル化はカネがかかるから、ひとまず地下に受けておこうという感覚だったのだろうなあ」