熊本市内にカラスが異常発生して、さまざまな被害が出ている。およそ1万羽のカラスが、街路樹、電線、ビルの屋上に押し寄せ、「ギャーギャー鳴いてうるさい」「気持ち悪い」「空が真っ黒になる時もある」と市民は困り顔だ。
翌朝は市内のいたるところでフン害だ。カラスがとまっていた歩道橋の手すりにはフンがべったり、公園のベンチ、公衆電話ボックス、駐車してあった車などは悲惨な状態になっていた。清掃の専門業者は「カラスのフンの掃除は大変。高圧洗浄機では追いつかないので、デッキブラシを併用しているが、それでも20~30分かかる」と話す。
農業への被害もある。タマネギ農家は「せっかく植えた苗を根こそぎ抜いてしまう。抜くだけで食べないので、余計腹が立ちます」という。年間100万~150万円の損害だという。
中国・ロシアから渡ってくるミヤマガラス
カラスが大量発生するようになったのは2018年11月だった。東都大学の杉田昭栄教授によるとミヤマガラスで、中国やロシアから冬鳥として渡ってきて、3月頃まで日本に留まる。司会の国山ハセンは「ミヤマガラスは1970年代に九州に飛来し始め、90年代に分布を拡大し、2000年代にはほぼ日本中に広まっています。今後、関東にも大群で飛来する可能性もあります」と伝えた。
フン害は青森や新潟でも問題になっている。佐賀市はミヤマガラスの捕獲を試みている。網製のワナを作り、中にエサと仲間のカラスを入れておびき寄せる作戦だ。しかし、捕獲できるのはハシブトガラスやハシボソガラスばかりで、警戒心の強いミヤマガラスはワナにかからない。熊本市の郊外などでは爆竹で追い払っているが、街中はそれも難しい。
画家の中島健太は「フン害だけでもバカにならないが、フンによってウィルスや病原体が広がるリスクがあります」
弁護士の山岸久朗は「カラスは鳥獣保護法の対象になっており、勝手に捕獲すると1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科される可能性もあるんですよ」