おかえりなさい、ダニー。スティーブン・キング原作の「シャイニング」の40年後を描いた続編である。雪山のホテルの惨劇を逃げ延び、成長した主人公ダニー(ユアン・マクレガー)は、壮絶な体験のトラウマと、未来予知や心で会話ができる自分の特殊な能力「シャイニング」に悩み、孤独に暮らしていた。
ビリー(クリフ・ファーティス)と出会ったことで、ダニーはホスピスで働き始める。死を待つ人々からドクター・スリープと呼ばれていたが、仕事は楽しかった。そんな時、集団で児童ばかりを狙った不可解な連続殺人事件が発生起こる。犯人たちはみなダニーと同じ能力を持っているようだった。時を同じくして、ひときわ強い能力を持つ少女アブラ(カイリー・カラン)が現れる。アブラは事件解決のため、ダニーに協力を求めるのだったが、二人は再び呪われたホテルに導かれることになる。監督・脚本は「ジェラルドのゲーム」のマイク・フラナガン。
お約束の「惨殺少女」「血が溢れ出すエレベーター」「腐敗した老婆」も登場
スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」を超えることはないと期待はしていなかったが、前作の伏線をすべて回収した形になったマイク・フラナガンのシナリオは、見事と言える。立派な中年おじさんに成長したダニーを演じたユアン・マクレガーの演技も上手い。敵役のローズを演じたレベッカ・ファーガソン、アブラ役のカイリー・カランなど、美女が出まくるのもお薦めである。
ただ、全編150分はさすがに長く、中だるみしてしまう。それでも懐かしい「シャイニング」の名シーンが随所に散りばめられ、楽しめる。ホテルの廊下に現れる惨殺された二人の少女、大量の血が溢れ出すエレベーター、これでもかと何度も登場する、腐敗したバスタブの老婆。すべてがシャイニングのファンを熱くさせる仕上がりになっている。
ジャック・ニコルソンやシェリー・デュヴァルが登場したのかと思うと、実は別人なんてところも笑えてくる。終盤では銃を使った激しい攻防戦まで折り込まれており、エンターテインメント作品として一級である。
そして、呪われたホテルに舞い戻ったダニーの止まっていた時間が動き出した瞬間は、思わずホロリとさせられた。残念だったのは、少年らの惨殺される描写が生々しいこと。子供が酷い目に遭うシーンをリアルに描く必要があるのか、といつも思う。
PEKO
おすすめ度☆☆☆