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元日の講談社名物広告からも消える「週刊現代」「フライデー」車内からも見捨てられた?

   私は毎年、元旦の朝日新聞朝刊に載る出版社の広告を楽しみにしている。講談社と小学館は毎年一面広告をうつ。岩波書店や集英社も一面である。樹木希林が横たわっている写真が話題になった宝島は、今年は7日に見開き全面広告を出した。ベルリンの壁が崩れ、大勢の若者たちが壁の上でピースをしている写真にかぶせて、「ハンマー持て。バカがまた壁をつくっている。」と大書してある。いいメッセージだ。

   新年の広告に出版社はそれぞれ、今年の「目標」のようなものを掲げる。講談社は「講談社大図鑑」と題して、池袋の新しいビルで、LIVEエンターテイメントを始める、女性向けWebマガジン「ミモレ」がサイトをオープンして5周年、2019年には講談社初となるニューヨークでのウォール広告を実現したなどと、近未来のイラストの上に、多くのことが謳ってある。

   だが、その中に、週刊現代やフライデーのことは一行もない。講談社にとっては、もはや昔の一局雑誌は、ないに等しいのだろうか。いつだったか、だいぶ前に、出樋(だすぜ)一親週刊現代編集長が、一面広告に登場したことがあった。彼が手を振り上げている写真に、「出すぜ!」という吹き出しが付いていた。あれが週刊現代が大きな話題になった最後ではなかったか。

   元日、その出樋から年賀状をもらった。今年で講談社を離れると書いてある。一時代を築いた戦士たちがいなくなっていく。その夜の酒は嫌に苦かった。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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