日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告は去年(2019年)12月29日夜、チャーターした小型ジェット機で、関西国際空港からレバノンに向けて密出国したようだが、どうやって出国手続きをすり抜けたのだろう。
アメリカの「ウォール・ストリート・ジャーナル」はホームページで、音響機材ケースに隠れて、プライベートジェット専用のターミナルの受付、待合室、保安検査場、出国審査を通過したと伝えている。音響機材ケースはアンプや楽器などを収納するもので、高さ1メートルもある。
「グリーンベレー」元隊員の逃亡のプロが手引きか
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スタジオに持ち込まれて、キャスターの立川志らくが入ってみる。「正座するか、お尻つけちゃうかすれば、隠れることはできます」。たしかに、小柄なゴーン被告ならすっぽり入れそうだ。
それにしても、出国には手荷物検査もある。音響ケースの中をチェックしなかったのか。これについて、入国管理局の元職員は「プライベートジェットの場合、搭乗者の身元がしっかりしていて、荷物の書類に不備がなければ、X線検査を行わないこともあります」と解説している。
このとき、アメリカ人2人が同行していたが、一人は陸軍の特殊部隊「グリーンベレー」の元隊員で、逃亡請負人と呼ばれる『プロ』だという。
ゴーン被告の身柄と裁判はこれからどうなるのか。日本の検察庁はICPO(国際刑事警察機構)を通じてレバノン政府に身柄拘束の要請をしたが、レバノンと日本の間には犯罪者引き渡し条約が結ばれていないうえに、司法当局は「入国にはフランスの合法的なパスポートが使われた」と説明しているから、身柄を引き渡すつもりはないようだ。
高橋和典弁護士は「15億円の保釈金は没収されますが、日本に再入国しなければ逮捕はありません」と説明した。4月(2020年)に予定されていた初公判も、被告人不在で開けない可能性が強い。