3日(2020年1月)、アメリカ軍による空爆でイラン革命防衛隊の司令官が死亡した。トランプ大統領は「イランが報復したら52箇所の重要施設を迅速に強烈に攻撃する」と警告し、緊張が高まっている。国連のグテーレス事務総長が「新たな湾岸戦争につながる」と警告する事態だ。
殺害されたのはコッズ部隊のソレイマニ司令官(62)。イランでナンバー2とされ、次期大統領候補にも名前が挙がっていた人物だ。イラク、シリア、レバノンのイスラム教シーア派を指導し、アルカイダや「イスラム国」の掃討作戦で重要な役割を担ってきたが、その一方、イランが開発した無人機などをイラクのシーア派武装勢力に使用させることもあった。国際政治学者の高橋和夫さんは「アメリカにとってはテロの親玉」と話す。
トランプ大統領が下したソレイマニ司令官の殺害の決定は、アメリカの政権内にとっても想定外だったようだ。米国防総省は歴代大統領に非現実的な選択肢を示すことでほかの選択肢を受け入れやすくしてきたが、今回は「最も極端な選択肢」として「司令官殺害」を提示していて、まさかトランプ大統領がそれを選ぶとは想定していなかったというのだ。
「弱腰」批判を気にしていた
トランプ大統領は、去年(2019年)6月に米軍の無人偵察機がイランに撃墜された際、作戦の10分前にイラン攻撃を中止した。その時「弱腰」と批判されたことをひどく気にしていたという。そして3日、ゴルフリゾートで司令官攻撃の最終承認をしたという。
石原良純(気象予報士、タレント)「アメリカの大統領が他国の要人の暗殺を命じ、実際にやった。米軍首脳部も予想が付かないようなことをやる、想定を超えた人が大統領であることの怖さ。民主主義の行きつく先はここなのか。こうなると、次に何が起こるかは誰にも予想が付かない」
司会の羽鳥慎一「歴代大統領が受け入れないような極端な選択肢を入れて置いたらそれを選択した。ゴルフ場で。これは今までとは違います」
山口真由(ニューヨーク州弁護士、元財務官僚)「世界が彼のチキンゲームの上に乗っている、危険な賭けです。世界に対する踏み絵でもあります。日本はアメリカともイランとも近い。安倍総理も声明を出すと思いますが、アメリカとどのような距離感を取っていくのか、ひとつの踏み絵になります」