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ふるさと納税に反対して菅官房長官に飛ばされた総務省元局長が大反論!「消費税上げておきながら・・・」

   私はふるさと納税に関心はない。自己負担2000円を払えば、寄付した分だけ事前に納めた税金がそっくり戻ってくる。その上、高額な品物を贈ってもらえるというのだから、飛びつく連中が多いのは理解できる。最初は、返礼品は寄付額の3割以下の地場産品だったのが、そんなことを無視して、自治体は高額で地場産品でないモノを競って贈るようになってしまった。

   これを考えたのは菅官房長官だそうだが、彼に「国民に消費税の引き上げをお願いしておきながら、逆に高額納税者の節税対策みたいな枠を広げるつもりですか」と"反対"した総務省元局長が、週刊文春に実名で告発している。当時の平嶋彰英総務省自治税務局長である。

   菅は彼の助言に耳を貸そうとはしなかった。そのため、彼は財政局長になるはずだったが、人事で自治大学校長に異例の異動をさせられてしまうのだ。自分たちに反対する奴は問答無用で切り捨てる恐怖政治で、どれだけ有能な人材が葬られてきたのだろう。

   次は週刊現代から。子を持つ親なら無関心でいられないのは、元農林水産次官・熊澤英昭(76)が息子・英一郎(44)を自らの手で殺めた事件である。息子の家庭内暴力に苦しみ、娘は兄のために縁談が破談になり、うつ病になった末に自殺してしまったという。

   この事件は裁判員裁判で裁かれた。いくら自分の息子でも、殺すことは許されるのか。難しい判断を裁判員たちは迫られた。被告人質問で熊澤被告は嗚咽交じりにこう答えたという。「今は、反省と後悔と悔悟の毎日です。大変辛い人生を送らせてしまったことを、かわいそうに思っています。無意識に体が動いたんですが、ただその前にやれることがあったかもしれない」

   12月16日の午後3時、注目の判決がいい渡された。執行猶予なしの懲役6年。私は正直、これは重すぎると思う。たしかに、行政機関や専門家に相談していれば、何らかの手を打てたかもしれない。自分の子どもだから殺していいことにならないことはわかる。だが、人間にはやむにやまれずという時が、一生に1度くらいはあるのではないか。有罪は仕方ないとは思うが、懲役3年執行猶予付き。私が裁判員ならそう主張すると思う。

   この判決は、子どもの家庭内暴力で苦しんでいる親を委縮させる効果はあっただろうが、それに増長する子どもがいると思うと、何ともいいようがない。判決後、週刊現代によると、検察官が熊澤被告に「身体に気をつけてください」と声をかけたという。熊澤はただ小さく頷き法廷を後にしたそうだ。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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