クリスマス・イブの24日(2019年12月)の夜、新宿駅西口の地下広場でひときわ賑わっている一角があった。立ち止まったおよそ80人の観衆が見ていたのは、国会をうつしだすモニターで、人びとは笑ったり、拍手したり、あきれたり・・・。いま、新宿などで国会パブリックビューイングが話題になっているのだ。
24日に流れていたのは、11月8日の参院予算委員会。「桜を見る会」の疑惑を追及するきっかけとなった質疑だ。「桜を見る会」の受付時の対応について、共産党の田村智子議員が「まとめてのチェックインで手荷物検査はなかった。何がテロ対策を強めたですか。調べてください、総理」と攻めた場面では、観衆から拍手と笑いが起きた。
大臣官房や安倍首相の「まさにこれはセキュリティーに関する問題なので、お答えは控えさせていただきます」という答弁には苦笑い。だんだんと人だかりが大きくなる。
30代の会社員女性は「彼とディナーがあるし、けっこう荷物重たいのですぐ行きたかったのですが、おもしろくて結構見ちゃいました」と話す。50代会社役員の男性は「矛盾点が明らかになって、それをみんなで共有できるところはいい。自宅でも見ているけれど、イライラするだけで終わってしまうので」と話していた。
国会「桜を見る会」追及を字幕・ノーカットで流すだけで爆笑
仕掛け人の上西充子・法政大学教授は「野党がどういう風に国会で質疑しているかとか、質疑がかみ合っているかとかが見えないまま国会が進んでいる」という。この国会の異常な状況を知って欲しいと思って始めた。「街頭でやることで、たまたま立ち止まった人に国会を目にしてほしいと思ってやっています」という。
こだわりは字幕とノーカットで見せることだそうだ。2018年6月から始まった試みは40回目となった。
浜田敬子(「ビジネスインサイダージャパン」統括編集長)「ビジネスインサイダーでも、政治の話題をやります。関心がないわけではないが、そもそも国会を知らないから読んでも分からないと、読者や若い記者に言われます。どれだけ彼らの関心があるところにひきつけて報じるか、メディア側が努力しないといけません」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「われわれがどうしたらいいかというと、まず伝える努力をすること。もう1点は『こうすればあなたの暮らしが良くなる』というキャッチーなものを提示することです。たとえば、アベノミクスのことを批判したとして、それに代わる何かを示す。そういう意味では、野党にも責任がある」