シカの一種、キョンが千葉県で大繁殖し、農作物を食い荒らすなどの被害を出している。
もともと中国や台湾に生息するキョンは1970年代、珍しいシカとして動物園でかわいがられていた。しかし、房総半島のレジャーランドで飼育されていたキョンが柵から脱走し、野生化。千葉県内で初めて捕獲されたのは1983年で、2006年くらいまでは勝浦市周辺で生息していたが、生息域をどんどん拡大しながら北上。最近では東京からわずか10キロの柏市でも確認されている。
柴犬くらいの大きさで素早く逃げ回り、猟銃当たらず
さらに、ことし(2019年)相次いで千葉を襲った台風で山が荒れ、食べ物がなくなり街中の畑に出没するようになったようだ。
成獣でも体重9~10キロほどで、小型犬(柴犬)くらいの大きさしかない。地元の住民男性は「小さくてどんなところにも上る。(農作物を守る)網を二重にしても三重にしてもかじり切って入ってしまうから、無理。そこらじゅうキャンの楽園になるよ」と話す。
生息域がものすごいスピードで上がっている理由は、高い繁殖能力にある。千葉県環境生活部自然保護課の三井士郎さんによると、メスは生後半年で妊娠して6~7か月で出産。1年間で36%増加することから、今年(2019年)3月に3万7700頭だった県内の推定生息数は、2020年には5万1000頭、2030年には110万頭を超える恐れがある。
文
ピノコ| 似顔絵 池田マコト