<ラストクリスマス>
あの人気曲に乗って妖精コスチュームの少女がロンドンを走る・・・もうキュートでかわいすぎる

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   「クリスマスに奇跡が起きる」――ワムの音楽とこのキーワードで、いくらでもスピンオフは書けるけれど、それだけで笑って泣ける良作になるとは限らない。

   主人公のケート(エミリア・クラーク)は、ロンドンの繁華街にある「サンタショップ」で働く26歳。両親との折り合いが悪く、友人の家を転々と移り歩く日々だけれど、行く先々でドジばかりで、ほうほうの体で逃げ出してきてしまう。セカンドハウスのストックも尽き、ワンナイトを繰り返すのも限界になると、しぶしぶ実家に戻る。当然、勤務態度は最低。夢は女優と公言しているけれど、オーディションではかすりもしない。

   何もかもがうまくいかないし、心にぽっかり穴があいたような日々だが、トムと名乗る男(ヘンリー・ゴールディング)に出会う。東洋系の見た目で、ノリは軽いのに、決定的に口説いてはこない。でも、しつこくケートに付きまとう。最初は悪態をつきながらトムに手を引かれていたケートだが、次第に店に来るのを待ち望むようになる。

   しかし、携帯も持たない、夜が深まるとどこかに消えてしまう。謎の多いトムに惹かれるにつれ、ケートは自分の気持ちの天秤ばかりが重く重く下がっているような気持ちになる。やっと姿を見せたトムにすがるケートは、「僕に頼るな」と突き放される。

カップルはもちろん、家族連れ、友達同士にもおすすめハッピームービー

   どこか自暴自棄に見えるケートの秘密、精神不安定な母親の背景、家に寄り付かない父、家族に本音を見せない姉。少しずつ回収される伏線と、それを最後にまとめ上げる主題歌がしっくりはまる。種明かし自体は既視感があるものだけれど、そのギミックを歌詞にはめることで、物語の終盤に向けて気持ちが高ぶらせていくつくりも鮮やかである。

   そして、何よりケートがキュート。甘ったれで、わがままで、根っこが生えていない少女が、きゃんきゃん悪態をつきながら、エルフ(妖精)の仮装でロンドンを走る。赤と緑のコスチュームにレオパードのフェイクファーコートは、英国のクリスマスのイメージそのものだ。放っておけない駄々っ子としての魅力があるから、トムと出会い、水が染み出るように周りとの関係を築き直す姿により心を打たれる。

   カップルで見てももちろんハッピーなクリスマスムービーだけれど、物語を優しく包む「あなたの隣人を愛せよ」という主題は、誰にとっても共感できるはず。友人と、家族と。センチになりすぎず、でもじんと目頭が熱くなる良作です。

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