スーパーのカウンターで、買った肉や魚をビニール袋に詰め替え、トレイを捨てる「くるりポイ」は絶対禁止という町があった。鹿児島・大崎町だ。大崎町ではゴミを27種類に分別収集し、12年連続でリサイクル日本一になっている。分別によって町も潤っているという。
ある町民が夕食にカレーライスを作るところを見せてもらうと、肉が入っていた袋から肉を出した後、ビニール袋を洗って乾かす。カレールーのプラスチック容器も洗って乾かす。公立小学校の給食に出る牛乳にはストローがついていない。児童は牛乳パックの飲み口を開いて、直接飲む。食後は牛乳パックを洗って開いて、乾かしていた。
回収ゴミの売却益で奨学金
大崎町の分別は紙だけでも8種類。段ボール、新聞、雑誌、コピー用紙、シュレッダー済みの紙、紙パック、ティッシュの箱やお酒のパックだ。27種類に分別されたごみのうち、24種類がリサイクルされている。月1回の資源ごみ回収の日には、町内166か所の集積所に朝6時から人だかりができていた。町衛生自治会が分別指導を行い、回収業者も分別を厳しくチェックしている。違反ゴミは回収されず、捨てた人に戻される。
回収されたゴミはリサイクルセンターで再チェックされ、種類ごとに圧縮・梱包してリサイクル業者に渡され、お金に変わる。町の環境対策係長によると、回収ゴミの売却益はトータルで1億3800万円にもなる。また住民一人当たりにかかるゴミ処理経費は、全国平均の年間1万5500円に対し、大崎町は7700円で、年間約1億円の節約になっている。このお金は、奨学金などで住民に還元される。
海洋プラごみ深刻なインドネシアからも視察
大崎町も以前はゴミは埋め立て処理されていたが、埋め立て地がいっぱいになってしまう見通しになり、リサイクルが始まった。27種類に分別する独自ルールは「大崎システム」と呼ばれ、海洋プラスティック問題が深刻なインドネシアから何度も視察にきた。ジャカルタ、バリ島などで来年から大崎システムを試験的に導入するという。
正能茉優(「ハピキラFACTORY」代表取締役)「知り合いに大崎町出身者がいて、その人はチョコを食べても包み紙を洗って乾かします。もう分別が当たり前のように身についているんですね」
田代冬彦(TBS元プロデューサー)「資源ゴミを買い取る人の立場になって分別しているのが素晴らしい」