年越しに欠かせない伝統行事「除夜の鐘」にクレームが増えているという。東京・小金井市の千手院はこの5~6年、除夜の鐘を中止している。住職によると、6年前に隣接する保育園の建て替え工事のため、鐘を移転したところ、周辺住民から「ここで鳴らされては困る」という反対の声が上がり、裁判所の調停にまで発展した。
防音パネルを設置することで合意したが、防音パネルの設置には費用が60~70万円かかるうえ、景観を悪化させる。さらに、周辺の住民とのしがらみも残しかねないと判断して、除夜の鐘を自粛しているという。
除夜の鐘の音量を東京・武蔵野市の安養寺で測定すると、鐘から5メートル地点で86.3デシベル。これはカラオケ店の店内レベルの音だ。100メートル離れた地点で測定すると76.7デシベルで、これは地下鉄の車内、布団を叩く音レベルだった。しかし、カラオケや電車内と違って、鳴りっぱなしというわけではない。
夕方に打つ「除夕の鐘」にしたお寺も・・・参拝者が増えた
除夜の鐘の騒音問題にある対策を講じて、逆に参拝者が5倍以上に増加した寺もある。静岡県の大澤寺だ。大澤寺でも15年前に除夜の鐘がうるさいとの苦情があり、やめていたが、5年前から夜ではなく夕方に打つ「除夕の鐘」にした。深夜ではないので、高齢者や子供連れも来るようになったという。
キャスターの立川志らく「除夜の鐘をうるさいなんて言うのは、情けなさすぎますよ。昔、ネットで除夜の鐘がうるさいなら日本から出て行けと書いたら、物議をかもした。108つの鐘で煩悩を断ち切るなど、日本の風情なのに」
TBS元プロデューサーの田代冬彦は「年に1回なのだから許してほしい」といい、ハピキラFACTORY代表取締役の正能茉優は神社の横に住んだことがあり、秋祭りには2日間にぎやかになる経験をしたという。「文化は個人の価値観の解釈の違い。すでにその地にあった常識や縁を受け入れられないなら、初めから住むべきではないですよ」
志らく「熱海の寛一お宮の像を男尊女卑だと言い、二宮金次郎像が歩きスマホにつながるからダメだと言い、ダビデ像はハレンチだからパンツをはかせろと言う。日本はクレーム大国。勉強を教えるのも大事だが、文化や伝統を教えるのはもっと大事」