教育現場で児童からのいじめの訴えを学校が適切に対処せずに見逃す「いじめスルー」の事態が相次いでいる。きのう16日(2019年12月)も、栃木県日光市と山口県下関市で、学校がいじめを訴える児童に適切に対処せずにスルーしていたことを市教育委員会が公表した。
日光市の市立小学校では去年(2018年)6年生の男子児童がいじめ被害を訴えた作文を、担任の男性教諭がコメントを書いて他の児童の作文とともに教室内に張り出していた。
いじめ被害の作文を「普通の作文」として教室に張り出す
教育評論家の石川幸夫さんは「教師の読解力がひどすぎる。作文をいじめの認識としてとらえていない」と指摘する。
保護者から連絡を受けた市教委が厳重注意し、教諭はクラス担任をはずされたが、学校内にはとどまっている。
カズレーザー(芸人)「作文を読めば、1秒で(児童の)考えがわかるはずです。まだ同じ学校にいるのでは、問題が解決していない」
石川さん「事なかれ主義が蔓延している。時が流れてなかったことにするのを狙って、学校が逃げている状態を感じます」
下関市の小学校では、いじめ被害を訴えた女子児童が自殺まで考えていることを学校や市教委が把握しながら対応を怠っていた。
女児は10月15日に複数の男子から足をはらわれ2週間のけがをした。これを学校は日常的トラブルとして処理したが、女児は下旬には「学校に行くくらいなら死にたい」ともらし、保護者が学校に相談していた。女児は12月4日にナイフを首にあてて自殺を図ろうとした。けがはなかったものの、スマホに「きれいな死に方」を検索した痕跡があった。
いじめ告発の手紙をシュレッダーにかける担任教師
石川さんは「最初の段階で危機感を持たなければいけないのに、学校の対応が遅れている。本当のいじめを理解していない」と批判する。
このほか、岐阜市で7月にいじめを受けていた中学3年生がマンションから転落死した事件があった。心配した女子生徒が「私も戦うから、先生も戦ってください」と訴えた手紙を、こともあろうに担任がシュレッダーにかけていたことが発覚している。
キャスターの伊藤利尋アナ「各地で深刻な問題が起きていて、これを『いじめスルー』と名づけたい」
カズレーザー(芸人)「学校はまず、いじめを隠さないでオープンにしてほしい」