氷川きよしカミングアウト「男らしくって言われると自殺したくなっちゃう」新しい演歌の世界が始まるかも

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

ヤフトピの掲載ニュース誰が選んでるの?メディア経験がない新人にいきなり担当させて大丈夫か

   ニューズウイーク日本版で、ヤフーニュース、なかでもヤフートピックス(ヤフトピといわれる)のトップページの最も目立つところに掲載されるニュースは、いかにして選ばれているのかを取材した石戸諭のレポートが面白い。ヤフーニュースは、月間PVは150億に達するといわれる日本最大のニュースサイトである。ヤフトピに掲載されるのはスマートフォンなら6本、その影響力は「新聞の1面以上、NHKのトップニュース並み」(ネット広告関係者)だそうだ。

   そこに取り上げられれば、自社のサイトのPVが飛躍的に伸びるため、配信する記事の対価が1PV当たり0.025円でも文句をいうところはないという。これはヤフー内で1億PV取っても250万円にしかならないのにである。

   ヤフトピは、13文字のタイトルをヤフー側でつけてアップするが、選ぶ基準はどうなっているのかは一切明かされない。石戸は、ヤフー側と取材交渉するが、難航する。ようやくヤフトピ編集部の代表という山内浩太が取材に応じた。山内はスポーツ系の出版社から3年前にヤフーへきたが、スポーツ以外のニュースを取材した経験はない。

   山内によれば、1日当たり約5000本がヤフーに配信されてきて、約25人でチエックするという。中途入社や新人たちだ。ヤフトピ編集部が見るのは見出しだけ。基準は、公共性、社会的関心という2軸で選ばれるそうだ。ヤフーニュース部にいたあるメディア経験者は、「メディア経験がない新人は、多くの場合は基本的なことを知らないままトピ編の現場に入る。例えばシリア情勢って何が問題なんでしたっけ? という感じ」

   これでどうやって公共性、社会的関心のあるニュースだと正しく判断できるのか。そう思われても致し方あるまい。嫌韓コメントなどが残っているがという問いには、「特定の民族へのヘイトスピーチは禁止している」「人的なパトロールで全てを見るのは難しい。適切な対応を頑張ってやっています」と、法務歴が長い今子さゆりが答えている。

   だが、ヤフーが今年3月に開催した配信メディア向けのカンファレンスで、「コメントがヤフーにとって最もオリジナルのコンテンツだと認識している」と語っていたそうだ。コメント欄はコンテンツの一つなのだ。他人が汗水流して取材したものを、労せずして配信するだけで巨万の富を得るプラットホームの実態が透けて見える。

   黎明期からヤフーのニュース部門を支え、現在は東京都市大学教授の奥村倫弘がこういっている。<「今のヤフトピの価値判断は悪い意味で、形式的な新聞化してきたように思う」>。毎日新聞の小川一がいっているように、「取材のコストを考えれば、プラットフォーマーは配信元にもっと利用料を払うべき」であるが、朝日新聞も読売新聞も毎日新聞も、何も手を打ってこなかった。

   今、「2050年のメディア」(文藝春秋)という本が話題である。下山進という慶應大学SFC特別招聘教授が綿密な取材に基づいて書いたもので、簡単にいってしまえば、紙メディアはもうすぐ滅びるという内容である。サンデー毎日は下山にインタビューしている。下山は、2017年6月に、たまたま開いた日本新聞協会のホームページで、直近の10年で日本の新聞が総部数で1000万部、売り上げで5645億円落ちていることを知った。

   18年正月の読売新聞賀詞交歓会で渡邉恒雄が、「読売はこのままではもたんぞ」と悲鳴を上げた。そこで取材を始めたという。大新聞がみな苦戦する中、日本経済新聞だけが2010年に有料課金制の日経電子版を始めた。その購読者数は19年6月段階で72万人。紙の部数は落としたが、電子版で相殺できているという。

   ヤフーに頼ることのないシステムをつくり上げた日経は数少ない生き残る新聞になるという。下山はこういう。「紙からデジタルに技術変化する中でどうすれば人が金を払うのかを考え抜くべきだった。今でも遅くない」

   私も、かなり前から、ニュースの有料化について考えていたが、もうすでに勝負あったのではないか。唯一あるとすれば、読売、朝日、毎日が呼び掛けて、地方紙も含めた全紙有料化に踏み切ることだが、難しいだろうな。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

姉妹サイト