生田斗真のゆる~いドラマ。岸辺満(生田)は俗にいうニートで、大学を中退してコーヒー店のオーナーになるも、わずか9か月で店じまいしてしまった。そこから6年間、夫が残した喫茶店「ポラリス」を営む母(原田美枝子)に寄生し、穏やかな日々を過ごしていた。
そこに、マイホームを建て替える間だけ同居させてくれと、姉(小池栄子)一家がやってきたから、さあたいへん。満の平穏な日常を守ることができるのか、といったお話である。姉の娘・春海を清原果耶が演じる。朝ドラ「なつぞら」ではヒロインなつの生き別れの妹で、小料理屋女主人を演じていたが、今回は中学3年生。変幻自在な清原に驚かされる。
ほかには、「ポラリス」の常連客トリオの牧本さん(西村まさ彦)、諸角さん(ハマカーン 浜谷)、薗田さん(本多力)は、そこにいるだけで可笑しい。
殺人事件が起こるわけでも、名医が活躍するわけでもないし、とくに劇的なこともなく淡々と日常が描かれる。「渡る世間は鬼ばかり」から鬼要素をなくした感じか。はたまた「サザエさん」の実写版か。ひとことで言うと、ほっこりするドラマだ。
1時間ドラマやめて「30分×2話」という実験
特筆すべきは、1話30分×2で、毎回2話ずつ放送するところ。たとえば、11月30日(2019年)の第8話では、「其の十五 ゆで卵と福引」、「其の十六 ミカンとコタツ」というように続く。15分の朝ドラが受けているいま、1時間ドラマなどかったるくてとても見ていられないという視聴者も、30分×2ならなんとか我慢できるのか。そんな実験的試みも行われている。
8話では、失業し、満と同じグレーのスエットを着て部屋に引きこもる浩司に、「どうして似たようなグレーのスエットを着てるの」と満が訊ねると、「働いていない人間には落ち着くんだよ」とか「ニートの公式色」と答えたり、部屋に引きこもって何をしているかと思ったら、「マチュピチュのジグソーパズル」を作ったり。他人事ながら、人間って面白いなあと思う。ニートが2人、コタツに入って「コタツというのは急速にやる気を奪っていくねえ」というような台詞が心憎い。
満が定職につくかどうかも気になるが、このままずーっと屁理屈こねまわして、ニートを続ける満も見ていたいような気もする。第2シーズン、第3シーズンと続けて欲しいドラマだ。関ジャニ∞の主題歌「友よ」もどこか懐かしく、ドラマにぴったり。(土曜よる10時~)
くろうさぎ