2日(2019年12月)、島根県安来市で一週間前に児童相談所から自宅に戻ったばかりの小4男児(10)が死亡する事件が起きた。
朝、男児が小学校に登校しなかったことから、連絡を受けた安来市の職員が自宅を訪問。郵便受けの隙間から血が見えたことから警察に通報した。鍵がすべて閉まっていたため窓ガラスを割って室内に入ると、男児と40代の母親が血を流して倒れており、そばに血の付いた包丁が落ちていた。
男児はすでに死亡しており、母親は意識不明の重体で病院に搬送されたが、警察は無理心中の可能性が高いとみている。
父親の入院を境に平凡な家族が崩壊していった
男児は父親と母親との一家三人暮らしだったが、父親が今年8月から病気で入院。以降、母親は父親の看病と子供の養育に経済的な問題が重なって家賃を滞納するなど追い詰められていた。9月10日、安来市は母親が男児に対して身体的虐待やネグレクトの疑いがあるため児童相談所に通報、翌11日に男児を一時保護した。
しかし、男児に傷やアザが見られず、子供にお金を渡して弁当を買いに行かせるなど、生命に危険が及ぶ状況ではないと判断。児相は2カ月半かけて在宅支援の体制を整え、関係機関とも協議を重ねた上で11月25日に一時保護を解除した。その後も家庭訪問を続け、11月29日にも電話でやりとりをしている。その時、母親は元気な様子だったという。しかし、保護解除から一週間で悲劇は起きた。
母親を知る人は「お母さんが鬱(うつ)だと知っていた。ご主人のことが心配で、そっちで一生懸命だったみたい。誰か助けてくれる人もいなかったかもしれない」と証言する。
ロバート・キャンベル(日本文学研究者)「8月にお父さんが入院するまでは、どこにもある平凡な家族だった。ドミノが倒れるように家賃が払えなくなり、お母さんが精神をわずらい、自分の通院もできないまま子供に手をあげてしまうようになった。児童相談所は責められない。本当の支援ができなかったことは間違いないが、経済、病気、子供の養育など、横串を通して見る立場から、今後チェックの網の目を細かくしていく必要がある」
司会の加藤浩次「縦割りじゃなくて横から見ていくことが必要ですね」
文・みっちゃん