悪質なオーナー商法で知られる「ジャパンライフ」の元会長が、安倍晋三首相の「推薦枠」で2015年の「桜を見る会」に招待されていたという疑惑。元会長は実際に、セミナー会場で出席者に招待状を見せていた。大型スクリーンに映し出したり、コピーを配ったりして信用させ、だますための小道具として巧みに使っていたのだ。
2015年といえば、消費者庁からの行政指導を受け、ジャパンライフがピンチだったころ。そんな時期に首相から届いた招待状は、まさに救世主だったろう。共産党の大門実紀史参院議員は「2015年1月から3月は、ジャパンライフが最も厳しかった時期。最後の荒稼ぎをしようとしていたときに手を貸したのが首相の招待状だ」と指摘。全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会代表の石戸谷豊弁護士も「招待状がジャパンライフの説明の信ぴょう性を高める方向に作用したことは間違いない。組織的詐欺に信用を持たせることになった」と猛批判している。
長い政権の中でチェック機能が形骸化か
政治ジャーナリストの角谷浩一さんは「誰が元会長を呼んだか調べていくと同時に、責任者は誰かを考えないといけない。この会はお金を払えば誰でも入れる普通の政治家のパーティとは違う。主催は首相で、とりまとめ役は官房長官です。2人の責任者が当事者になっている点で、森友・加計問題とはだいぶ違います」と話す。
しかし、ジャパンライフと言えば80年代から「政治家とのつながりを売りに被害を拡大している」と繰り返し指摘されてきた組織だ。なぜそのような組織に、寄りによって首相の枠で招待状が送られてしまったのか。
角谷さん「普通ならば、役人が招待する人の素性をチェック調べるなどいくつかの関所があるはず。人数が多くなってしまったということもあるが、政権が長いことで、チェックを怠ったのか、どうせ言ってもはねられるから言わなかったのか...」
山口真由(ニューヨーク州弁護士、元財務官僚)「安倍首相は小さな不快感をなかなか忘れない方です。かつ人事を握っている。発言して無駄死にするよりは何も言わずに通そうという感覚だったのかも知れません」
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「そもそも、なぜ首相の枠で招待しなければならなかったのかが疑問です。元会長から献金を受けていた自民党議員は過去には確実にいたし、今もいるかも知れない。だから議員の推薦枠の中に元会長が入っているならば分かりますけれど。党としてお世話になっていたという意味なんでしょうか」