余命宣告の大林宣彦監督「未来を変えてみようよ、な。それが生きているということだ」

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「戦争を楽しく見せちゃうと、反戦映画も好戦映画になってしまう」

   大林監督には30年前、黒澤明監督と誓った約束がある。「あの戦争のいかがわしさを直接知った僕たちの世代が、ものを言わないといかんとクロさんも期待していたね」と振り返り、その約束をまだ果たしていないという思いを抱いていた。

   「その後を戦争抜きで描いて、うかつな映画人生だった」「あの戦争と同じ気配が、いま世界をおおい始めた」と反省や危機感を大林監督は語る。「戦争を(映画が)楽しく見せちゃうと、反戦映画が好戦映画になってしまう」「観客も傍観者ではいられない」という思いを強く持つ。

   新作映画のクライマックスで、主人公たちが「観客が高みの見物では世の中は変わらない」「歴史の未来は変えられるぜ。それをハッピーエンドするのが観客だ」と叫ぶシーンは、この思いからきている。大林監督は「過去は変えられないが、表現には未来を変える力があるんじゃないか。変えてみせようよ、な。それが生きているということだ」と語りかける。

   新作に日本兵役で出演した沖縄出身の俳優、満島真之介さんは、「監督にたくさんの言葉を託された」と、大林監督の言葉を書きつけた映画パンフレットをスタジオに持ってきた。「ひとはありがとうの数だけかしこくなり ごめんなさいの数だけうつくしくなり さようならの数だけあいを知る」とあった。

   「人の体温を感じ、ありがとうという。すべてがこの言葉に詰まっています」「すべての人、木々、風にも命がやどることを教えてもらいました。(そういうものと)出会って美しい仕事をすることから責任が生まれ、覚悟ができる」と、満島さんは大林監督から学んだそうだ。

NHKクローズアップ現代+(2019年11月28日放送「大林宣彦監督 生きる覚悟」)

文   あっちゃん
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