老舗百貨店の大丸梅田店(大阪市)が、女性従業員が生理中であることを知らせる「生理バッジ」を試験的に導入し、話題になっている。ネット発の人気漫画『ツキイチ!生理ちゃん』とのコラボ企画で、名札の下にある告知用の札を裏返すと生理中であることを知らせる「生理ちゃん」のイラストが現れる仕組みで、女性従業員約500人が任意でバッジを付けている。
この試みに「プライバシーの侵害」「オープンにする必要ある?」などとSNSで批判が上がったほか、店にも批判電話が相次いだというが、店の狙いはなんなのか。
専門家は大丸にエール「一石を投じた」
今津貴博店長によると、導入のきっかけは22日(2019年11月)に5階にオープンした最新の生理用品などを扱う売り場だ。「生理に対する理解を深めたい」と、若手社員から提案され、このフロアで働く女性従業員に生理バッチを導入したというのだ。「妊娠マークがあるように、マークを付けることによって従業員同士の気遣いとかポジティブな動きが出てくるのではないか。売り場としてもいい形に進んでいくのではないか考えました」と今津店長。
対象となった女性従業員からは「生理の話を職場の人とできるようになったことが大きな一歩だと思う」「同性同士で話すことで、ポジティブな雰囲気で盛り上がれた」とおおむね賛同の意見が多いという。百貨店側は今後、お客さんの反応などを見て継続について検討する予定だ。
一方、街の女性の反応は...。「やりすぎ。周りが知ってどうするんだろうって感じです」(20代・教師)、「生理があるから何かを許してほしいとか、体調が悪いのを気遣ってほしいとか、甘えを感じる」(40代、事務職)という反対派もいれば、「私自身、生理痛がひどくて体調崩すことも多い。口に出して言いにくいから付けたい」(30代、事務職)という肯定派も。「スッキリ」が調査をした女性80人中では、賛成が31人、反対が49人。およそ4割が賛成だった。
生理用品などの時代背景などを研究している田中ひかるさんは「試験的な導入ということで、結局廃止になってしまうかもしれないが、生理を語る議論を起こすために一石を投じた意義はあると思う」と話す。
若い世代には生理に対するネガティブなイメージがない
背景に、生理に対する意識の変化があると指摘する。若い世代には生理に対するネガティブなイメージがあまりないため、オープンにすることに抵抗が少ないという。「私たちのころのナプキンは、厚みがあり、体育の時間なんかにブルマーを履くと分かってしまった。今の20代は初経の時から優れた性能のナプキンがあるから、恥ずかしい思いをしたことがないのでは」と田中さんは話す。
杉山愛(元プロテニスプレーヤー)「生理痛にはものすごく個人差がある。重い人は寝込んでしまうほどです。だから、辛い人はアピールして分かってほしいという面はある。私はスポーツ選手だったので、あまり周りに気づかれたくなかったし、コーチにすら言えなかった。若い選手は言うことに全く抵抗がない子もいました」