日本から1万5千キロも離れた南大西洋に浮かぶ島からの国際電話が急増している。その島とはアセンション島。人口およそ800人のイギリス領の火山島だが、うかつに折り返し電話をすると、高額の通話料を請求される恐れがある。とくダネでは、その悪質な手口に迫った。
少額の「ちり積も詐欺」だが、切り忘れで高額に
今年(2019年)9月頃から急増している海外の着信だが、その番号に折り返し電話をすると、当然国際電話料金がかかってしまう。この料金には、日本の電話会社を経由して支払われる現地の電話会社への接続料が含まれている。急増している着信だが、電話会社と結託した詐欺グループが、通話料からのキックバックを受けるという、国際電話ワン切り詐欺の可能性が指摘されている。
とくダネでは、アセンション島唯一の電話会社に「日本にかかってくる電話について聞きたい」と直撃取材+。相手は「法務部のものと話してその後かけなおします」「回答に割と時間がかかります。法務部はイギリスにありますので」と返答。しかし、その直後突如電波状況は乱れ、さらに「誰かから連絡が行きますので」と電話は切れてその後連絡はなかった。
着信はアセンション島だけではない。アルジェリアやギニア、ナウルやキリバスなど、日本から遠く離れたアフリカや太平洋の島国など、世界各地からの着信が報告されている。アフリカのモーリタニアからの着信に折り返して23万円の高額被害に遭った男性も。
三上洋(ITジャーナリスト)「こうした国の多くは新興国で、規模の小さい国際電話会社が怪しい契約をしてしまうことがある。現地の電話会社は詐欺と思っていない。キックバックも普通の契約だと思っている可能性がある」
日本からアセンション島への電話料金は平日昼間で30秒180円。イギリス108円、ブラジル148円と比べても極端に高いわけではない。詐欺に気づいてすぐに電話を切れば、詐欺グループが手にする額はわずか数十円だ。なぜこんな詐欺が成立するのか。
三上洋「おそらく自動プログラムでシステム化している。世界中で被害が出ているので、(一件当たりが少額でも)ちりも積もれば山となる作戦」
鈴鹿久美子(ブランディング戦略家)「私は以前議員秘書をしていたが、議員秘書は電話に折り返さないということはない。私が秘書だったら何回も折り返していたと思う」
すぐ気づいて電話を切れば被害は少ないが、長く繋いでいると接続料は高額になる。取材に応じてくださった方は高齢で、スマホの通話に慣れておらず、通話切断のボタンを押さなかったため被害額が23万円になってしまった。
三上洋「掛け直したら日本語のアナウンスで、台風の時に『家族や友人が待っています。このまま待機してください』という悪質なメッセージが流れたものもある。高齢者の方はスマホの通話切断を忘れてしまうこともある」
伊藤利尋アナウンサー「現状我々ができることは折り返さないこと」
小倉智昭キャスター「とにかくお気をつけください」
文・みっちゃん