変人・狂人と言われながら純粋無垢に生きた画家
ゴッホは景色を見るために野山を延々と歩いたり、岩をよじ登ったりということを繰り返していたため、演じるデフォーも体力勝負のところがあったであろうが、そのなりきりぶりは「見事」の一言である。デフォー以上の適役は他にいないだろう。
また、カメラはほとんどが手持ちで、時にスクリーンの下半分がピンボケしているなど、大胆な技法も採り入れられている。ゴッホの視線がそのまま映像化されているかのようで、観客はゴッホを追体験している錯覚に陥り、面白い。
世間に理解されず、耳切り事件などのエピソードから、変人・狂人のイメージが現代まで続くゴッホであるが、その人柄には諸説ある。スクリーンに映る、ただ人を愛し、「自分だけに見える世界の美しさを誰かに伝えたい」という使命と情熱から絵筆をとった、純粋無垢な一人の画家の姿に親近感がわいた。
おススメ度 ☆☆☆☆