福井県敦賀市の会社役員、岸本太喜雄さん(70)方で、岸本さんと両親の芳雄さん(93)、志のぶさん(95)の3人が遺体となって発見された事件で、警察は17日(2019年11月)に太喜雄さんの妻、政子容疑者(71)を殺人容疑で逮捕した。政子は「3人の首を絞めた」と供述している。
太喜雄さんは建設会社の会長で、2年前に脳梗塞を発症して足が不自由だ。義理の父の芳雄さんは要支援2、義理の母の志のぶさんは要介護1と認定されていた。政子は3人の介護をしながら、建設会社の事務もこなしていた。
近所の人は「早う6時半ごろに事務所に行って火をつけて暖房し、帰ってご飯を食べさせて、また10時ごろにおむつ替えに帰ってくる。介護を24時間、毎日していた。パッとした明るい感じのいい人だが、介護に疲れたわって言っていました」と話す。
地方ではいまだに「面倒見ないのは親不孝」
淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授は「1人の介護者が2人、3人の面倒をみるのを多重介護といいますが、心身とも相当疲れます。2、3年やっているということは、かなり限界にきているはずです」と語る。
周囲や社会の手は差しのべられなかったのか。敦賀市の担当者は「まったく相談はなかった」という。福井県は3世代同居率が全国2位という背景がある。結城教授は「介護は家族がするもの、施設に預けると『親不孝者』と思われる、そんな思い込みがあったのでは」とみる。
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「地方には、いまだに重く世間というものが存在しているんだと思います」
司会の羽鳥慎一「3人殺害となりますと、極刑に値すると思うんですが、大変だったと思います」
2016年の警察庁犯罪統計書によると、殺人の動機・原因に「介護・看病疲れ」は3位に入っている。