喜美子(戸田恵梨香)の妹・直子(桜庭ななみ)が17歳になり、東京で就職することになった。しかし、すでに就職は3軒目だった。初めての就職先は、父の常治(北村一輝)が、喜美子の時と同じように、必死で頭を下げて頼み込んだ問屋であったが、1か月も経たないうちに信楽に帰ってきてしまった。
2回目もやはり問屋だったが、その日のうちにやめてしまった。3度目の正直で直子が勤める先は、蒲田にある電化製品工場だ。中学校の先生が斡旋してくれた。
常治「こえら性がないんや、お前は」
直子「今度こそちゃんとやるゆうてるやろ」
「絵付けも最初は面白くなかったけど、いまはニコニコや」
荷物をまとめる直子を見ながら、もうひとりの妹の百合子(福田麻由子)が羨む。「直姉、楽しそうやね」。「楽しいわけないやん。職場は工場やで」
そんな直子を見て、過去の自分を重ねた喜美子が笑顔で諭す。「うちも最初は、絵付けはしかめっ面でしかできへんかった。大量生産やから同じ絵を繰り返し描くんや。だけど、今はそれが楽しくなってくる。すっかり今はニコニコや。3年やらんと、わからん話や」
常治「ふん、ずっとやれたら、たいしたもんや」
喜美子は「やる。うちはずっと絵付けをやる。一生の仕事を見つけたんや」と言い切って、直子をもう一度諭す。「楽しくないゆうてたら、見つからへんかもな。電化製品作るんでも、楽しいかもしれへん」
翌朝、直子は東京へと旅立った。常治も同行していった。(NHK総合あさ8時)