自転車を運転中にスマホを操作していた人物を追いかけ、後ろから笛を鳴らして止めてながら運転を非難し、「動くな」「降りろ」と威嚇しながら警察に通報。その動画を顔出しで4日(2019年11月)にユーチューブで公開した男性の行為が物議をかもしている。
ネット上は「アリなんじゃないの」「典型的な"正義マン"」「これヤバい人じゃん」など賛否が渦巻いている。動画を撮影・投稿した自称「PJ.アイスマン」を直撃すると、「僕がいいと思うことをやっている。世間がどう思うかは知りません」と話す。「危ない運転をしているヤツ、悪意があるようなヤツ、巻き込みそうな人を注意しようという意識が強い。警察もやっていることだろうとは思うけど、僕の目の前でやっていたら注意しようという感じ」という。
「悪質な人間には肖像権ない」とモザイクもかけず
動画では、止められた男性がアイスマン氏に「警察ですか?」と聞くと、「呼ぶから逃げるなよ」とハンドルを押さえ、「スマホで片手運転をしている人がいる。違反切符持ってきて」と警察に連絡する様子もある。到着した警察官に引き渡したあと、「注意喚起のために(動画公開を)やらせてもらうから」と一方的に通告し、顔にモザイクをかけるなどの処理もせずそのまま公開する。
動画を無加工で公開していることについては、「悪質な人間に関しては、肖像権、名誉棄損、侮辱罪などはどうでもいい」と答えていた。
了承得ないで公開は「名誉棄損罪」
菅野朋子弁護士は「ながらスマホ運転は道路交通法違反で5万円以下の罰金」で、アイスマンの行為自体は問題ないが、動画をネット上に公開したことについては「公開動画で本人の顔がわかり、ネット公開に了承を得ていないため、名誉棄損罪に問われる可能性があります。刑事罰だけでなく、慰謝料を請求される可能性もあります」と指摘している。
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「ゆがんだ正義に見えますよ。自分より弱い人を狙って、小さな正義を実行しているように見える。真似をして集団で制裁する人が現れたら、リンチになる可能性もあり、魔女狩りみたいですごくいや」と不快感を示す。
スポーツキャスターの長嶋一茂は「ながらスマホが危ない行為であることは事実。前後に子供を乗せて、スマホを見ているお母さんもいますよ。昔はそれを注意する人がいたが、今はユーチューブ。動画を公開しなければ、いいことだとは思ってしまう」という。
吉永みち子(作家)「私人逮捕はいいと思いますが、ネットへの公開は一般の個人が罰を与えていることにもなり、責任を持たなければならない」