火鉢の絵付けで一人前になるには、数年の修行が必要で、家族の世話や食堂の仕事で忙しい川原喜美子(戸田恵梨香)にはとても無理だとわかった。喜美子がショックを受けて家に帰ると、大阪で世話になった新聞記者の庵堂ちや子(水野美紀)が家に来ていた。
驚きながらも喜ぶ喜美子。そしてちや子の仕事のことを心配して尋ねると――。
ちや子「そや、心配かけたね。あれから出版社を訪ね歩いて、今は婦人雑誌記者や。いろんなこと調べて、取材したり、記事書いたりな。原稿書くんや。今度、琵琶湖の取材するんねん」
母親のマツは、娘に夢があることを知って驚く
その話に、母親の川原マツ(富田靖子)と妹の川原直子(桜庭ななみ)、そして喜美子は、初めて信楽に来た日を思い出していた。そして、ちや子の仕事ぶりの話が続く。
ちや子「あの琵琶湖に橋が架かるねん。日本一の大橋や。夢あるやろ。すぐに編集長に取材させてください言うたんや。せやけど、女やから相手にしてくれへん。そこを堪えて、どうしてもやってみたい、一生懸命掛け合ったんや」
ちや子の変わらない仕事への情熱が伝わってきて、喜美子は、自分の夢がかなわないという気持ちがこみ上げてきて抑えきれなくなった。そして声をあげて泣く。
喜美子「うちもやりたいこと見つけてん。これや思うた。新しい道や」
ちや子「そうなんや。何を見つけたん?」
喜美子「絵付けや。信楽の火鉢に絵を描きたいんや」
喜美子の話に初耳だった母親のマツは、娘に夢があることを知って驚く。
喜美子「やりたい言いたかった。あかんねん言われてんねん。朝から晩まで教わらんとあかん。うちにはそんな時間もお金もないねん。あかん」
涙声の喜美子の話を妹たちもじっと聞いている。その後、ちや子は喜美子を励まして笑顔で帰っていった。
一方、父親の川原常治(北村一輝)は喜美子の見合い話を勝手に進めているのであった。(NHK総合あさ8時放送)