喜美子(戸田恵梨香)は、雑用係として雇われた丸熊陶器で、試しに火鉢の絵付けをやってよいと言われ、夢中になって描いているうちに夜になっていた。慌てて家に帰ると、父親の常治(北村一輝)が酔っ払って大暴れした後始末の真っ最中だった。母親のマツ(富田靖子)が割れた茶碗などを片付けている。末娘で妹の百合子(住田萌乃)は泣いていた。
喜美子「どうしたの」
マツ「いつものことよ。飲んで帰ってきて、お風呂沸かしてなくて、怒ったんよ。ほんで直子と口喧嘩になってな」
妹の直子(桜庭ななみ)が奥から飛び出してきた。「お姉ちゃん、何してたん。うちかて学校の宿題とかあんねん。お父ちゃんは、喜美子は、喜美子はってうるさいし。みんな嫌い。大嫌いや」と大声でまくしたてた。
喜美子「ごめん、直子。あすからはよ帰るさかい」
雑誌記者になった庵堂ちや子が信楽まで訪ねてきた・・・大切な話があるらしい
翌朝、朝早くに喜美子は絵付けの作業場に向かった。すると深野はもう来ていた。「だれ?」「あ、川原です。きのうはありがとうございました。うちは食堂の仕事が4時まであるんで、その後からやと遅うなってしまってあかんのです。申し訳ないですけど、朝の時間だけ絵付けの仕事をさせていただけたらと」
深野はぼうっとした顔をして、返事もせずに、自分の作業部屋に入るとぴしゃりと戸を閉めた。弟子の二人にも朝の時間しか絵付けをやる時間がないと訴える喜美子。「きのう、やったやん。また遊びにおいで」といわれる。遊び? 喜美子は驚く。そんなふうに思われていたのが悔しかった。
絵付けの仕事に思いをめぐらしながら、急ぎ足で家に帰ると、思いがけず、大阪の新聞社を辞めて雑誌記者になった庵堂ちや子(水野美紀)が来ていた。(NHK総合あさ8時放送)