業者による業者のための英語民間試験―実施にことのほか熱心だった下村元文科相とベネッセの近すぎる関係

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   新聞やワイドショーは、週刊文春にお歳暮でも届けるべきではないか。このところの重大ニュースは、ほとんどが週刊文春発である。菅原一秀経済産業相と河井克行法務相の辞任。今週の森田健作千葉県知事の「台風被害最中の帰宅問題」追及と、文春砲がさく裂している。

   今週号で追及している「安倍"お友だち"と英語試験業者の蜜月」も破裂すれば、モリカケ以上の深刻な問題になりかねない。萩生田文部科学相の暴言で延期された大学入試の英語民間試験だが、週刊文春によれば、これを導入することは、安倍首相の私的諮問機関として設置された「教育再生実行委員会」の提言で具現化されていったという。

   2014年末に、「2020年度からの実施を目指す」という工程表が発表されたが、この時の文科相は下村博文であった。下村は安倍の最側近だが、「大学入試改革にかける情熱は相当なもの」だったと、ある自民党の文教族議員が憤っている。なぜなら、下村が熱心だったのは「業者による業者のための試験をやってくれ」というものだったからだ。

   当然、その利権を巡って熾烈な水面下の争いがあったのだろうが、<「主導権は英検と、『GTEC』という民間試験を運営する教育産業大手のベネッセコーポレーションに移っていきました」(文科省関係者)>

   詳しいことは省くが、ベネッセと文科省とは抜き差しならない関係で、関連団体の理事長に元文部次官や中教審の入試改革のトップが入っていたり、文科省がベネッセに必要経費を肩代わりさせたりしていた。<「今年八月に大学入試共通テストの国語と数学の記述式採点業務として、約六十一億円の仕事も(ベネッセが=筆者注)受注しています」(教育関係者)>

   14年7月に、ベネッセは約3500万件という過去最大級の個人情報漏えい事件が発覚し、下村はベネッセが受注していた業務を一時停止させたものの、<すぐに解除を命じる"大甘処分"を下している>(週刊文春)

   下村は、「ベネッセとは関係ない」と答えているが、多くの受験生や学校関係者を激怒させた「拙速な民間試験導入」は、決定に至ったプロセス、責任の所在を早急に公表すべきであること、いうまでもない。

認知症少ないインド―やっぱりいいらしいカレー、チョコレート、ニンニク

   先日パリに行った際、火災で焼けたノートルダム大聖堂を見てきた。マクロン大統領は、パリ・オリンピックが開催される5年後までに再建すると表明したが、そう簡単ではないだろう。エッフェル塔と並んでパリの象徴だったノートルダムの火災は、パリっ子たちに大きな衝撃を与えたようだ。

   沖縄のシンボルだった首里城が全焼してしまった。私も何度か見に行ったことがある。週刊新潮によれば、首里城は、琉球王朝時代の1435年、1660年、1709年と、太平洋戦争時の4回も焼失しているという。今回は、放火ではなく、<火元とみられる正殿北側の1階部分から焼け焦げた分電盤が発見され、電気経路のショートが原因との見方が強まっている>(週刊新潮)そうだ。

   首里城が世界遺産に登録されたのは2000年。86年から進められてきた復元プロジェクトが、ようやく今年2月に終わったばかりだった。復元に関わった人たちは、もう一度首里城を復元させようと意気盛んなようだ。

   復元プロジェクトのおかげで図面や資料も整備され、県内の職人の技術も育っているから、<「再び城をつくるのは十分可能なはずです」(高良倉吉琉球大学名誉教授)>

   被害額は約73億円といわれるそうだが、建物は火災保険に入っているし、修復は国費で行われる。再び日本で唯一の「朱い城」を見ることができる日が来るようだ。

   週刊新潮で連載している「認知症との闘い」は毎週読んでいる。今週は「薬よりすごい食品があった!」。やはりイチローが毎日食べているというカレーはいいようだ。インドは認知症の発症が少ないというデータもある。カレーにチョコレート混ぜるとさらにいいという。チョコレートやカカオに含まれるカカオポリフェノールがいいようだ。

   ニンニクも認知症の発症を遅らせる効果がある。2日に1片でいいそうだし、ココナッツオイルもアルツハイマー病の改善にいいそうである。私はカレーとニンニクが好きだから、今夜は、キーマーカレーとニンニクの丸焼きで一杯やろうか。

   昨夜(11月7日)は、久々に面白いボクシングを見せてもらった。WWSSのバンタム級トーナメント決勝で、井上尚弥が5階級制覇のノニト・ドネアと闘った。前評判では、井上の圧勝だといわれていた。井上が26歳、ドネアが36歳である。ドネアの試合はかなり前から見ているが、往年の凄みが消えて、最近は衰えが目立ち始めていた。

   試合開始からドネアが終始リードする展開になった。右眉の下を切り、鼻血で井上の顔は真っ赤になった。試合後、井上は2回頃からドネアが二重に見えたといっていたが、テレビで見ていても井上は劣勢に見えた。終盤、ドネアに年齢の壁が立ちはだかった。10回頃から目に見えて動きが悪くなっていった。井上の左がドネアのレバーに突き刺さりダウンした。立ち上がったが、挽回する体力も気力も失われていた。

   30歳前後のドネアなら、早い回で井上をKOしていただろう。レジェンドも年には勝てなかった。井上は思い知ったと思う。世界には自分より強い奴がいくらでもいることを。

元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任。講談社を定年後に市民メディア『オーマイニュース』編集長。現在は『インターネット報道協会』代表理事。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)『現代の“見えざる手”』(人間の科学社新社)などがある。

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