台風15号が9月9日(2019年)に千葉県を直撃し、甚大な被害をもたらしていたにも関わらず、「台風直撃の翌日、公用車で別荘に行っていた」と週刊文春(11月14日号)に報じられた森田健作知事は、きのう7日の定例会見で問題はないと弁明した。
「向かった先は別荘ではなく自宅」「公用車から自分の車に乗り換えて、私的に視察してた」と釈明したが、水の入ったコップを持つ手は大きく震え、乾いた唇を舐め、しきりとまばたきをするなど、焦りまくりであることは一目瞭然だった。
会見では『プライベート視察』についての質問が相次いだ。車は個人事務所のスタッフが運転、SPも同乗していたという。「公用車で行くと復旧の足かせになる」「住民に聞き取りはしていない。車の中から眺めただけ」など、説明に説得力はない。
不可解な点もある。森田知事は自宅前で車を乗り換え、「富里市や酒々井町を30~40分ぐらい視察した」と説明したが、公用車の運転日誌に記載されていた行き先は「千葉市内」。実際には芝山町の自宅へ向かっており、運転日誌が間違っているのか、知事の説明が違うのか。
また、千葉県庁を出たのは10日午後2~3時となっていて、秘書課担当者は「私的な視察など、公務以外については把握していない」というが、県内で停電や断水が広がっているときに、知事の所在を把握していないなんていうことがあるのか。
職員たちが必死で台風対応していても「外に出ると危ない」と登庁せず
鳥取県の元知事の片山善博氏は「プライベート視察は理解できないですね。私なら、関係者を連れて一番ひどいと思う場所に行く」と話す。
知事がこんな状態だから、千葉県の災害対応は遅れに遅れた。県内のほとんどの市や町は9日までに災害対策本部が設置したが、県が災害対策本部を設置したのは10日午前9時。台風が直撃しているさなかも、森田知事は登庁せず知事公舎にいた。秘書課は「風雨が強く、外に出ることが危険と判断した」と説明しているが、現場の職員たちはその時、危険を顧みず避難誘導や避難所運営にあたっていたのだ。
三重県の元知事の北川正恭氏は「雨風が強いから県庁に出てこなくていいという理論は成り立たない。そうこうことを避けるために、公舎が用意されているんです。真っ先に行くべき」と話した。