アメリカのトランプ大統領はおととい4日(2019年11月)、温室効果ガス削減を掲げる「パリ協定」からの離脱を国連に通告したことを明らかにした。支持者を前に「恐ろしく金がかかり、不公平なパリ協定から離脱する」と高らかに宣言し、拍手を受けてドヤ顔を見せていたが、世界各国からは非難の声が上がっている。
パリ協定は約190の国と地域が締結した国際的な枠組みで、温室効果ガスの排出量を今世紀後半までに実質ゼロにすることを目標に掲げている。アメリカの二酸化炭素排出量は世界の約15%を占め、中国に次いで2番目に多い。にもかかわらず、トランプ大統領はかねがね「地球温暖化説は、アメリカの競争力をそぐために中国が作り出したものだ」などと発言し、3年前の大統領選でパリ協定からの離脱を公約に掲げていた。
パリ協定は2016年の発効から3年たたないと離脱の通告ができない決まりになっていて、トランプ大統領は通告が可能になった初日に離脱を宣言した。上智大学総合グローバル学部の前嶋和弘教授は、「来年(2020年)の大統領選を見据え、化石燃料産業界の支持固めが目的」と説明する。実際の離脱は来年(2020年)11月4日で、大統領選はその前日だ。
ディカプリオはグレタ・トゥンベリさんとの2ショット投稿で抗議
これに対し、俳優レオナルド・ディカプリオは自身のツイッターで、スウェーデンの高校生の環境活動家グレタ・トゥンベリさんと写した写真を投稿し、「グレタさんのメッセージが、世界の指導者を怠慢から目覚めさせるものであることを願っている」と発信した。
フランスのマクロン大統領と中国の習近平国家主席は、きょう6日にもパリ協定を着実に履行する合意文書に署名する見通しで、中国の外務省報道官は「アメリカのパリ協定からの離脱に遺憾の意を表明する」と批判した。
一方、小泉進次郎環境相は「極めて残念」としながらも、「トランプ大統領に(離脱の)翻意を促しても、それは不可能だと思います」と、追認するかのようだ。
デーブ・スペクター(テレビプロデューサー)「アメリカ世論は、何よりも恥ずかしいという気持ちだと思います。アメリカ国内でも、たとえばカリフォルニア州はいろんな温暖化対策をしています。パリ協定自体はアメリカが離脱してもあまり影響はなく、むしろアメリカの印象が悪くなるだけです」