宮脇明子の漫画を35年前にフジテレビがテレビドラマ化し、さらに動画配信サービスFODがリメイクして8月(2019年)から配信、好評だったために地上波放送が実現した。すでに全8話配信済みであるにもかかわらず、注目度は高い。
厳格な祖母にしつけられ、おとなしい優等生に成長した高校生の小沢裕美(ヒロミ/ユミ)は、あるとき納戸に閉じ込められ、不思議な鏡台を見つけ、夜になるとヒロミとは正反対の人格のユミに変貌して街に出ていく。そこでは反社会勢力を相手に大暴れしていた。ドラマのテーマは二重人格だ。
第2話では、前夜の記憶がなく、戸惑っているヒロミのところに、夜の街でユミを目撃したという同級生が現れ、その様を明かしたために、ユミは二人を排除しようとする。
いまどき「濃いメイクで長スカート」のスケバン風っていうのもなあ
令和版のヒロインは桜井日奈子。ヒロミ役は清楚な雰囲気でぴったりなのだが、ダークサイドのユミの方はなんだかダサくて、ワルっぽく見えない。そもそも、昭和と違って、今はひと目でガラ悪そうとか、不良だなと識別できるステレオタイプな10代の少年少女は見当たらない。メイクを濃くして、なぜか丈の長いスカートをはいてスケバン風なのだが、そういうファッションのやさぐれた子もあまり見かけない気がする。
ユミのよろしくない不良行為も、昭和の頃とほとんど変わらない。人の財布をすって、カードでキャッシングして分け合っている。ヒロミは優等生で賢いのだから、ユミも悪事も知恵を発揮した令和ならではの工夫が欲しいなと思ったりした。現代の素行不良児は描きにくいことか。(10月28日深夜1時05分放送)
(かたくりこ)