沖縄「首里城」の火災が早期に消し止められなかったのは、3つの「壁」があったからだった。1つ目のは、初期消火のための設備が使われなかった可能性だ。火災鑑定人の鈴木弘昭氏は「燃え上がるのがあまりにも早かったので、火災感知器が感知できないところで出火した可能性があります」と指摘する。
正殿の前には放水銃が設置されていたが、使用されていなかった。建物の周囲にはドレンチャーという噴水状の消火設備もあるが、作動したかは確認中だ。復元された歴史的建造物には、スプリンクラーの設置は義務付けられていないという。
2つ目の壁は建物の構造だ。高台にある首里城は、消防車が近づくルートが限られるため、ホースを100~200メートル延長して消火にあたった。119番通報から8分後には放水を始めたが、那覇市消防局の新城敏行警防課長は「攻めにくく造られている城ですので、ホースの延長をするうえで、コースの迂回などでくねくねしており、水圧が変わってしまう難しさがありました」と話した。
また、正殿、北殿、南殿などの建物で四方が覆われているため、輻射熱と熱気が中にたまって入れない難しさもあった。
発熱量大きく、放水を弾いてしまう漆
3つ目は「漆塗り」だ。首里城の外壁は漆で塗装されていた。鈴木氏は「漆は樹脂なので発熱量が大きく、水をはじきます。このため、火が消えにくくて延焼しやすい」と説明する。
司会の小倉智昭「日本の歴史的建造物で漆を使ったものは多いですよね。それが燃えやすいというのは気がかりです」
文
キャンディ| 似顔絵 池田マコト