宿泊予約したホテルに荷物を預け、まずは観光――。当たり前のことと思っていたら、預かった荷物を勝手に開けて捨ててしまったホテルがあった。しかも、社長は「ゴミだと思った。賠償はしない」と開き直った。
荷物を捨てられてしまったスズキしんやさんによると、9月(2019年)ことだった。チェックイン時間前にホテルに到着したため、荷物をフロントに預けた。荷物は収納ケースと段ボール箱で、2つは養生テープでキャリーカートに固定してあった。
チェックイン時間になって戻ると、なんと、段ボール箱はカートから外され、ふたが開けられ、中は空っぽになっていた。段ボール箱に入れてあったのは、依頼されて作ったゲームのキャラクター模型。ガレージキットと呼ばれるもので、精巧なモデルはマニアの間で高値で取引されるほどの貴重品だ。スズキさんが制作したのは、ゲーム「Bloodborne」に登場する星の娘「エーブリエータス」だった。翌日の展示会に出展後に、依頼者に引き渡す予定だった。
ビックリしてフロントに問いただすと、「中身を空けたら、クチャクチャしたゴミだったから捨てちゃった」と説明するではないか。ゴミ捨て場から回収できたが、パーツの一部がはがされて破損していた。費用と時間をかけて作成したものなので、謝罪と賠償を求めたが、ホテル側は応じなかった。
貴重なガレージキットをゴミ扱い「また作れるでしょ」と賠償拒否
ホテルとのやり取りを録音した音声がある。ホテル社長は「開けてみたら、大事なものと思えなかった。大事なものを預けるなら、ひとこと言ってくれ」「たまたま次の日が資源ごみの回収日だったので、段ボールを集めていた」と、スズキさんが悪いと言わんばかりだ。
「ホテルが客から預かった荷物は、全部大事なものでしょう」と反論しても、「作ろうと思えば、また作れるでしょ」などと、社長は盗人猛々しい。制作には約1カ月の時間と7万円の費用が掛かっている。
当初、ホテル側は賠償に応じないとしていたが、どうやら弁護士と相談したらしく、「荷物を開けたことに対する謝罪料として3万円」と、一方的に現金書留を送ってきた。
都内のホテルらしいが、どこなのか?
この騒動はネットに投稿され、炎上している。司会の羽鳥慎一は「ひどくないですか」と玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)に振った。「まったくもってあり得ないですよ。どこを取ってもダメ。客から預かった荷物をゴミという人はホテルマンとしてダメ」
長嶋一茂(スポーツコメンテーター)「たとえゴミでも、他人の所有物は捨ててはダメ。3万円送りつけてくるのも頭にくる。バカにしているよね」
作家の吉永みち子「預けられた荷物を開けるのは、危険物かもしれないときには許されるが、危険物じゃないんだから、ゴミ捨て場に捨てない」
弁護士の菅野朋子によると、「荷物を勝手に開けたことについては、ホテル側は損害賠償責任は負わないが、破損させた場合は損害賠償責任が発生する」という。このケースでは、材料費を含む制作費7万円以上と慰謝料を払わなくてはならない。
それにしても、こんなひどいホテルはどこなのか。都内らしいが、明らかにしてほしいなあ。