喜美子(戸田恵梨香)は世界的な芸術家・ジョージ富士川(西川貴教)のサイン会を訪れた。「あの、私、来年から梅澤の絵画科に通おうと思てます」と、ドキドキしながら話しかけると、富士川は「はいな、またお会いできますねえ。基本を学ぶことは大事なことだ」とニッと笑いかけた。梅澤とは梅澤美術研究所のことで、富士川はそこの講師でもあった。
喜美子が感激していると、自分を呼ぶ声がする。見ると、かつての居候で柔道の先生でもあった草間宗一郎(佐藤隆太)が立っているではないか。草間は、通訳として香港の美術商に付き添って来ていたのだ。
「二人で話してた夢を、別の男とかなえてた」
2人は再会を喜び、歌声喫茶「さえずり」で近況報告しあった。喜美子は、草間が探しているという妻のことを尋ねた。草間は満州にいたころに、夫婦で話していた夢について語りだした。
「お店をやろうって話してたんだよ。小さな飯屋を。当時は2人で過ごす時間がほとんどなかったんだよ。だから、日本に帰って2人でお店をすればずっと一緒だねって」
そして、とうとう消息がわかったという。「生きてたん!? 奥さん生きてたん!?」喜ぶ喜美子に、草間はこういった。「居所はわかったけども、叶えてやれなかったその夢を、向こうは叶えてた」
喜美子「え?」
草間「この近くの商店街で小さな店をやっている。別の男と」
草間の妻は別の人と暮らしていた。喜美子はなんと言葉をかけていいか分からない。「戦争があかんのや。草間さんのせいやない」というのが精いっぱいだ。
新聞記者の庵堂ちや子(水野美紀)の職場では、ちょっとした事件が起きていた。(NHK総合あさ8時)