「サルの世界で大変なことが起きました。史上初です。協力し合うサルが確認できたのです」と野上慎平アナが伝えた。上下関係が厳しいニホンザルは、強いサルが弱いサルを追い払い、エサを独占してしまう。仲良く協力することはないと考えられていた。
ところが、兵庫県の淡路島のニホンザルは仲良しなのだ。檻の中の台車の上にエサが置いてある。台車には両側に紐がついており、外から両側の紐を一緒に引っ張らないと台車は動かない。片方だけだと紐が抜けてしまう。2匹のサルが協力しないとエサはやって来ない仕組みだ。
1匹のサルが待っていると、もう1匹がやって来る。2匹になると、「いち、にっ、さん」の感じで一緒に引っ張る。台車は狙い通りに来て、見事にエサをゲットした。
エサ取り合いよりおおらかさで協力行動
どうやってそんな知恵を持ったのか。大阪大学大学院の人間科学研究科のグループが初めて確認した。ニホンザルには、攻撃性が強いサルと弱いサルの遺伝子がある。攻撃性の高いサルの遺伝子の方が圧倒的に多いが、淡路島は攻撃性が低い遺伝子を持つサルが多く残ったといわれている。そのため、優しくエサを分け合い、おおらかなグループができたという。
別の岡山県の一般的なニホンザル集団で同じ研究をしたが、ケンカが起き、協力行動は起きなかったという。
貝ヶ石優・博士後期生は「ニホンザルの『おおらかさ』が協力行動を起こす重要なカギであることが分かりました。ヒトが協力社会をどのように作ったか、解明に役立てたい」と話す。
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「攻撃性が高い低いは、環境で決まるはずなんです。攻撃性が低いのはエサがふんだんにあったからで、わざわざ争う必要がなかった。人間も資源問題が解決すると、戦争がなくなるんではないかと思っています。この研究もサルの研究ではなくて、人間の研究なんですね」