喜美子(戸田恵梨香)は荒木荘の住人の庵堂ちや子(水野美紀)の勤める新聞社に寄った。ちや子の上司である編集長の平田昭三(辻本茂雄)が焼き物に詳しいと聞き、お守りにしている信楽焼のかけらを見てもらおうと思ったのだ。
編集部は雑然としていて散らかり放題。見かねた喜美子が片付け、汚れた湯呑茶碗を片っ端から洗ったら、その手際の良さに、編集部のみんなが目を丸くした。
その夜、仕事を終えた喜美子は荒木荘の近くにできた「歌える喫茶さえずり」という店で、ちや子と待ち合わせていた。
マスター「あなたが喜美子さん? よう来たな。ちや子さんから聞いとる」
喜美子は髭面のマスターに迎えられたが、店の奥でギターを弾きながら歌っている男に見覚えがあった。荒木荘の謎の住人、田中雄太郎(木本武宏)だ。「やっぱり変わった人や」
「でも、お父ちゃんにも聞いてみな
ちや子が店にやってきた。「キミちゃん!引き抜きや」といきなり言う。昼間、編集部を手際よく片付けたことが認められて、これからも来てほしいということになったのだという。5倍の給料を払うという破格の条件に、喜美子は「決めました。ちや子さんの新聞社で働かせてもらいます」と即決した。
ちや子「キミちゃん。でも、本気なら荒木荘には住まれへんよ。そういうことも考えていかな」
喜美子「ああ、お父ちゃんにも聞いてみな」
ちや子「自分の人生やで。自分で考え」
喜美子はその話を数日考え続けるが、女中の先輩である大久保のぶ子(三林京子)に言い出せずにいた。下宿屋の住人の医学生の酒田圭介(溝端淳平)や田中雄太郎に相談すると、賛成と反対で意見が対立してしまう。雄太郎の提案で、大久保に黙って、新聞社で試しに働いてみることにした。(NHK総合あさ8時放送)