東京五輪開催まであと9か月となって、IOC(国際オリンピック委員会)は「マラソンと競歩の会場を東京から札幌に変更することを検討している」と発表した。バッハ会長は「選手の体調を考え、一生に1度の舞台での最高のパフォーマンスを引き出すため」と語っている。
先週までカタールのドーハで開催されていた世界陸上選手権では、女子マラソンの出場者68人中28人が暑さのため途中棄権した。レース時は気温30度超、湿度70%超だったが、東京の8月はさらに高温多湿だからというわけなのだ。
小池都知事は困惑「ハード・ソフト両面で暑さ対策やってきた」
大会関係者によると、1週間ほど前にIOCから組織委員会にそんな話があり、東京都には15日(2019年10月)に伝えられた。小池百合子知事は「アスリート・ファーストの観点は重要ですから、これまでも組織委員会と連携し、ハード・ソフト両面からさまざまな暑さ対策を講じてきました」と困惑している。ミストシャワー、打ち水、さらに300億円を投じて路面温度を抑える遮熱性舗装もおこなった。
ゲストのマラソン解説者・金哲彦氏は「なんで今になって。開催時期が近づきすぎていますよ。警備の問題や運営など、受け入れ側は何年もかけて綿密にやってきています。男子マラソンは最終日に行ない、表彰式は閉会式で行われますが、それはどうするのでしょうか」と怒る。
もう1人のゲスト、スポーツライターの小林信也氏は札幌開催に賛成だ。「暑い東京で本当にやるのかと思っていたので、ホッとしましたね。選手にとっても、観客にとってもいいですよ。300億円かけた遮熱性舗装は、レースが行われなくても、都民のみなさんに恩恵を与えているはずです」
2013年の招致運動では「理想的な温暖な気候」と大うそ
玉川徹(テレビ朝日コメンテーター)「2013年の招致委員会の際の立候補ファイルを見ると、東京はこの時期、晴れが多く温暖で理想的日程と訴えているんですね。ある意味、嘘をついていたのではないか」
小林氏「バッハ会長は最善の決断をしましたよ。暑さで問題が起きた時、その招致理由が嘘ではなかったのかと蒸し返されたら、(東京を選んだIOCの)問題になりますから」
招致の時より、東京の夏はさらに暑くなっている。東京で実施なら出場を取りやめる選手も出るのではないか。